どうしても早く読みたいと思い、図書館に駆け込む。
柴田哲孝著『暗殺』幻冬舎
安倍晋三元首相暗殺を題材としたフィクション作品。
先に言っておくが、フィクションという形にはなっているが、あまりにもリアリティがありすぎる。
読んでいて、どこまでがフィクションでどこからノンフィクションなのか分からなくなる。
話を戻すが、この本を知るきっかけは、幻冬舎社長の見城徹氏が出演している番組。
そこで、佐藤尊徳氏、井川意高氏、見城徹氏、深田萌絵氏による対談。
どうしても読みたくて、書店で購入する。
ページを開くと吸い込まれるように一気読みしてしまう。
文字が映像として浮かんでくるような臨場感を味わう。
ここから、ネタバレしないように気を付けながら感想を述べる。
山上容疑者による単独犯行という警察発表とは全く違う見解。
普通なら『陰謀論』として片づけられてしまう。
しかし、この本は下山事件同様に膨大な情報収集を元にしている。
この暗殺事件が起こる何年も前から入念に計画され、準備が淡々と進められていることに恐怖を感じる。
一般的には、犯人の家族が新興宗教団体によって崩壊させられたことが動機とされている。
しかし、そう単純で簡単なものではなく、様々な分野の人が複雑に絡んでいることが分かる。
<いまだに残る謎の一例>
・致命傷となる銃弾が見つからない。
・司法解剖による警察発表と実際に執刀した医師による記者会見発表の相違。
・暗殺翌日の主要新聞社の見出しが一字一句同じ。
・新興宗教と既存の宗教団体の関係。
様々な利権に関わっている人が、それぞれの立場で少しずつ犯行に関わっている。
だから、『犯人はこの人』と明確に答えることができない。
下山事件の被害者、国鉄初代総裁の下山定則氏。
本人の意思とは関係なく、国鉄トップの周辺に渦巻く様々な利権に関わる人たちの陰。
安倍晋三氏は、内閣総理大臣として歴代最長の在職8年以上にも及ぶ。
下山氏以上に彼の周りには複雑に絡んだ利権や信条があったはず。
その中には、おいしい蜜を吸った人もいれば、逆の人もいただろう。
逆の立場の人にとっては、本人(安倍氏)が知っているのか知らないのかに関わらず、憎まれる対象になる。
平和な日本と言われながら、白昼堂々と暗殺されてしまう現実。
歴代最長の内閣在職期間を誇りながら、いとも簡単に消されてしまう(殺されてしまう)現実。
報道1つとっても、何が本当で何が嘘なのか分からない。
安心安全と言われている日本も、本当は魑魅魍魎(ちみもうりょう)がはびこっている証拠なのだろうと勝手に解釈する。
つくづく世の中とは、綺麗ごとでは収まらない煩悩の塊だとため息がでる。
しかし、だからこそ『事実は小説よりも奇なり』と言われるように面白いのかもしれない。