静岡県の高校野球は、春の県大会を行っている最中。
この日はベスト8をかけての3回戦が行われる。
私の住んでいる地域から比較的近い場所にある球場に足を運ぶことにする。
なぜなら、その球場では、県内屈指の好投手が登場するから。
プロ注目選手で、彼が登板する日にはプロ野球スカウトのコメントがマスコミに取り上げられる。
その名前は、小船翼選手(知徳高:3年)。
身長198cmから投げる最速は152キロ。
この152キロは静岡県内高校史上最速タイ。
球場に足を踏み入れると、ひときわ大きい選手が1人いる。
身長198cmは、どの選手よりも目立つ。
マウンドに立つ姿は、まさに大魔神を思わせる雰囲気。
試合前の投球前練習でいきなり、146キロをマーク。
この試合では、最速150キロをマークした。
打席でも、相手捕手や球審と比べてひときわ大きい。
球審に左足がバッターボックスからはみ出していると注意を受ける場面もあった。
ここから、この試合のダイジェストをお伝えする。
小船投手率いる高校は、初回に先頭打者がいきなりスリーベースヒットを放ち、1点を先制。
しかし、その裏、ヒットやエラーが重なり、3点を取られ逆転を許す。
4回表に1点を返し、1点差に詰め寄るが、それも束の間、その裏に相手に1点を入れられ、突き放される。
5回にも2点を入れられ、万事休す。
1点を取り返すも、時すでに遅し。
小船選手率いる高校は、3対6で敗れる。

この試合を通して、3つのことを感じた。
まずは、小船投手が好投手であることは間違いないが、相手チームはその直球を狙い打ちし、小船投手から7安打を放つ

直球狙いを見越して投げる変化球の制球が悪い

これではピッチングのリズムが苦しくなり、より一層バッター有利となってしまう

2つ目は、小船投手の女房役の捕手のこと。
ストレートにミットが耐え切れずに、持っていかれている場面があった

これでは、投手が思い切って投げることができない

潜在的にブレーキをかけて投げてしまう可能性がある

よく、『ピッチャーを活かすも殺すもキャッチャー次第』と言われる


何とか、小船投手が遠慮なく、思い切って投げることできるようキャッチャーは練習に励んで欲しい

最後に感じたこと。
それは、相手チームの走塁がとてもよいこと

相手チームの走塁能力が高い


決して足がもの凄く速いという訳ではない。
このチームの多くの選手は付属中学から上がってきている。
付属中学は、軟式野球の強豪チーム。
私が監督をしていた時も、何度も戦った相手。
出塁した走者は、打者に集中させないように様々な動きをする。
投手はバッターだけでなく、走者にも気を取られるため、すごく神経を使う

この試合でも、モーションを盗まれ、楽々盗塁を許してしまう場面も多々あった

そのため、どうしても直球系の球種に偏ってしまうため、的を絞られてしまう

小船投手も、そのことを痛感したと思う。
最後のまとめ。
野球は団体競技。
1人飛びぬけた凄い選手がいても、勝てないのが野球

まさに、今回の相手チームは試合巧者だった

みんな束になって小船投手にブツかって、見事撃破した

このように、戦前の予想を覆すことが起きるから野球は面白い

逆に敗れた高校は、夏の本大会に向けて修正する点が明確。
監督はこの反省を踏まえ、夏に向けて何を教え、何に取り組み、何を徹底するかにかかっている

あくまでも、本番は夏の大会。
もし機会があれば、小船投手のチームが夏にどのように化けたかどうかを見るのも楽しみの1つ

色々なことを思いながら、帰途につく。