静岡経済研究所から『調査月報』3月号が送られてくる。
その中で気になる記事を見つけたので紹介する。
特別企画調査『高付加価値化を追求し成長を続ける化学工業』。
最初、『化学工業』と言われてても、ピンとこなかった。(スミマセン)
その理由の1つに、商品としての姿が見えにくいから。
下準備として、化学工業について簡単に確認する。
一番分かりやすいのは、化粧品や医薬品。
その他、衣類・携帯電話・自動車・住宅なの身の回りのあらゆるモノの材料となっている。
また、中間投入財としての側面が大きい。
ここが非常に分かりにくいところ。
なぜなら、最終商品となる前段階のことだから。
例えば、接着剤の製造から消費までの流れを見ていく。
① 最初の化学品メーカーが、石油を原料としてエチレン、キシレン、メタノールを製造。
② 次の中間化学品メーカーが、合成樹脂を生産する。
③ 最終の化学メーカーが、接着剤を生産する。
④ 製造業、建設業などで使用される。
上記の3つの化学品メーカーのことを指す。
さあ、いよいよ、記事を見ていくことにする。
一見地味に感じる記事だが、何気なく読み進めているうちにグイグイと引き込まれ、知的好奇心をくすぐられる。
勝手に項立てして紹介する。
<もくじ>
① 我が国、静岡県内における化学工業の立ち位置
② 県内における化学工業の製造品出荷額の割合
③ 県内における化学工業が多い背景
④ 今後の課題
⑤ 私見
① 我が国、静岡県内における化学工業の立ち位置
・我が国における製造品出荷額(2021年)は約32兆円で製造業では2番目となる。
・製品の大部分は産業用の中間投入財と、研究開発による製品の高付加価値化による。
② 静岡県内における化学工業の製造品出荷額の割合
・製造品出荷額(2021年)は2兆円、全国シェア7.2%、都道府県別で3位の生産規模。
・出荷額(2021年)の内訳は医薬品が8,500億円と約41%、触媒を含む無機化学工業製品が4,300億円と約20%と続く。
③ 県内における化学工業が多い背景
・大井川・天竜川水系、富士山の伏流水などの豊富な水資源が重要。
・首都圏、阪神・中京圏の中間に位置し、物流において便利。
・東名高速道路、東海道新幹線などが整備されており、交通が便利という立地の優位性。
④ 今後の課題
・消費財が少ないため、外部からその重要性が見えにくい。そのため、優秀な若者が化学工業の研究開発に携わる人材確保。
・優秀な人材が生活する居住地としての魅力。
⑤ 私見
今回、注目して記事を読んだのは、長女が大学で化学を専攻していたのが影響したのだろう。
化学工業は地味だが(スミマセン)、非常に重要な業界であることを痛感した。
そして、研究開発が命であることも理解できた。
そこで重要なのは、優秀な研究者の人材確保。
ここで思い出されるのは先月、野球の教え子及び保護者との懇親会での会話。
その席で、ある父親(製薬会社研究所勤務:東大卒)の一言を思い出す。
父親:「隣の中〇製薬(ライバル会社)の研究所が神奈川県に移転しました。」
私:「えっ、過去にその会社の教え子の保護者もいました。移転の理由は何ですか?」
父親:「若い学生や研究者がここへの赴任を嫌がるからです。」
私:「そうなんですね。」
以上の会話から明らかになったことは『④今後の課題』の優秀な人材が生活する『居住地としての魅力がなかった』ことになる。
私は政治家でもなければ、その地域の商工会議所等にも所属していない。
かかわりがあるのは、物件を持つ大家でメチャクチャ高い固定資産税を支払っている納税者。
だから、関係者には、その地域により住みやすいインフラ等の充実、地域の魅力を発信する努力をし続けてもらいたい。
今回の記事は、化学工業についてだった、色々と考えさせられるものになった。