前回に続いて、『調査月報2024/1 新年号』からの内容。
今回取り上げるのは、昨年(2023年)のヒット商品の特徴についての記事。
2023年のヒット商品のキーワードは、『カムバック』『タイパ』『生活防衛』の3つ。
以下に、この3つについて私の独断と偏見で1つの事例を具体的に取り上げる。
まずはカムバック消費について見ていく。
2023年は5月のコロナ5類移行に伴い、各種のイベント(花火大会、野外フェス、スポーツ観戦等)が完全に復活し、マスク不要となった。
同時に、コロナによる入国制限などの水際措置も終了する。
<カムバック消費の一例>
インバウンドの復活により、百貨店などの免税店の売上が急速に回復している。
百貨店での購買客数が30万人(2023年6月)で、前年同月比は何と1,528%増、売り上げ実績が280億円で前年同月比で320%増となった。
コロナ前の2019年比でも△0.8%となり、ほぼほぼコロナ前の水準に復活した。
続いて、コロナ前を通して、リモートワーク、オンライン会議が普及したことで、個人や企業は効率的な働き方を意識するようになった。
この考えや価値観はプライベートの場面でも浸透してきた。
要は、費やす時間とそれによって得られる効果を最大化にする〝タイパ〟(タイムパフォーマンス)。
一般的にフィットネスジムは、色々と敷居が高い。
ジムに行って帰ってくるまでに、最低でも以下の行程が必要。
① ジムに入ったら、靴を履き替え、着替えをする。
② トレーニング後は、シャワーを浴びる。
③ 元の服装に着替え、靴を履いて退出する。
はっきり言って、面倒くさい。
それに輪をかけて、月々の価格も決して安くない。
私の身の回りにも、過去にジムに通っていたけれど、今は辞めた人が沢山いる。
<タイムパフォーマンスの一例>
今回紹介されているのは、トレーニングジムの『chocoZAP』。
会員数100万人(2023年11月時点)を突破している。
支持されている最大の理由は、コンビニ感覚で使えるフィットネスジムにある。
着替え不要、シューズも履き替え不要、そして、価格も¥3,278円/月と格安。
最後に紹介するのは、生活防衛志向に焦点を当てた商品。
今年もそうだが、昨年は何といっても物価高に悩まされる。
2023年6月には食品、飲料などの生活に関する用品が一斉に値上げされる。
その数は、3,500品目以上に及ぶ。
それに輪をかけて、7月以降も輸入小麦や生乳の価格上昇、電気代の引き上げなど、消費者を大いに悩ませる。
そうした中、〝生活防衛〟の商品が人気を集めた。
<生活防衛志向消費>
『もう揚げない!!」焼き天ぷらの素(ミックスパウダー:昭和産業)』
油の温度管理や後処理を気にせず簡単に調理できることが最大の特徴。
食用油の値上がり、食材費、光熱費の高騰を背景に、大量の油を使わずに調理できることが受ける。
簡単にこの紹介をする。
焼き調理で簡単に天ぷらが作ることができるミックス粉。
フライパンに大さじ3杯の油で天ぷらを作ることができるといった画期的な調理方法。
多くのメディアで取り上げられて話題となる。
最後に、2024年の動向を予想していく。
今年も旅行需要が回復していくことは確実。
それに伴い、観光公害が問題化していくだろう。
解決策のポイントは、人や時間をいかに分散化していくかが鍵。
<解決策の一例>
・予約制、オンラインチケット販売の導入により、入場制限ができる。
・日にちによって価格変動制を導入する。
それ以外に、『2024年問題』。
長距離トラック運転手の不足によって、物流が滞ってしまうこと。
解決策の一例として、「中継輸送」の普及。
ドライバーが中継地点で積み荷を交換してリレー方式で運ぶというもの。
これらが円滑に行えるためのスマートフォン・アプリの開発が進むだろう。
以上、2023年のヒット商品、そして、2024年の動向を見てきた。
今年はどんな商品がヒットするのか、今から楽しみだ。