年末年始に読むための本を調達するため、昨年の年末、急いで図書館で本を3冊借りる。
普段は全くと言ってよいほどTVを観ないが、年末年始だけは以下の番組を観る。
・12/31 紅白歌合戦
・1/2 箱根駅伝(往路)
・1/3 箱根駅伝(復路)
※ 今年は地震の影響があり、『芸能人格付けチェック』は観ず。
その他は、大掃除をしたり、料理を作ったり、年賀状を書いたり、初詣に行ったりしてダラダラと過ごす。
それでも普段とは異なり、まだまだ時間に余裕がある。
そこで、その時間を読書にあてる。
今回読んだ本は以下の3冊。
大沢在昌著 『一年分 冷えている』 PHP研究所
大沢在昌著 『六本木を一ダース』 河出書房新社
結城昌治著 『軍旗はためく下に』 中公文庫
大沢在昌は『新宿鮫シリーズ』で、一気に大沢氏のファンになってしまった。
今回は、警察小説以外を読みたいと思った。
2冊とも短編集。
大沢在昌氏の文章で気が付いたことが2つある。
それは主人公はもちろんのこと、主要な登場人物を描く際、着ている服装を細かく描写していること。
恐らく、大沢氏自身が着るものに対してオシャレなのだろうと推測する。
もう1つの特徴は、バーやスナックでの場面で、お酒の銘柄や種類が詳しく書かれている。
特に、ジンカクテルについての描写が素晴らしい。
これも、著者自身、ジン系のカクテルが好きなのだろうと想像する。
お酒が好きな私(今現在、禁酒中)は、作中にお酒の名前が出るたびにスマホで検索する。
今回読んだ大沢氏の2冊は、今まで読んできた警察小説とは異なっており非常に興味深い。
大沢氏の違う一面を見たような気がする。
そして、もう1冊。
結城昌治氏の代表作、『軍旗はためく下に』。
前々から読んでみたいと思っていた1冊。
この作品で、結城氏は直木賞を受賞する。
太平洋戦争中における日本兵の様子が克明に描かれている。
補給路を断たれ、味方の援軍もない孤立無援の極限状態。
生死をさまよいながら、敵や現地民と戦い続ける最前線の兵士たち。
それに対して、飲食全てが揃っており、決して最前線には近寄らない上官。
この矛盾を赤裸々に描いている。
ちょっとした手続き等の誤りや誤解によって、軍法会議にかけられ、もしくは会議にもかけられずに処刑された兵士がいたことを検証している。
検証が敗戦後25年以上経過してからのこと。
当時の記憶があいまいだったり、勘違いしていたり、中には真実を知っていても知らないふりをしたりして中々本当のことがわかない。
それでも、理不尽に処刑された兵士がいたことがおぼろげながら明らかとなる。
年末年始に読むにはかなり気が重い本であったことは確か。
しかし、時間があるこの時期だからこそ、じっくりと読むことができて本当に良かった。
結城氏は専業作家になる前は、東京地検の事務官に任官。
その時に膨大な量の軍法会議の資料を目にしたことが、この本を書くきっかけだったと回想している。
ぜひ、戦争を知らない我々世代は1度は目にしておいてよい本だ。
色々と考えさせられる1冊であった。
今後も大沢在昌氏、結城昌治氏の本を読み続けていこうと思う。