またまた、図書館で短編推理小説集を借りてしまう。
今年に入って、短編推理小説にハマっている。
自分に向いている1つの理由は、1話が短いこと。
短編だから当たり前のことだが、せっかちな性格の私には凄く向いている。
そして、推理、ミステリー系の小説、映画が大好き。
一昔前は、探偵小説とも言われていたらしい。
しかし、今では何かを解決するというストーリーだけにとどまらない。
さて、話を元に戻す。
今回もシリーズの第1巻。
推理小説になりたくて 『匠』 文藝春秋者
最初の阿刀田高氏の作品から、グイグイと惹きつけられる。
阿刀田高著『運のいい男』は痛快な話。
運がい良いと言ってよいのか、悪いのか、その線引きが分からいところが、面白い。
柴田よしき著『聖夜の憂鬱』、志水辰夫著『ダチ』は共に、心がほっこりと温かくなる話。
乃南アサ著『かくし味』は、飲むのが大好きな私にとって、主人公の気持ちがよくわかる。心優しい主人と女将さん、常連客との心温まる話の後の最後の結末には、大笑い。
宮部みゆき著『決して見えない』。
一般的に、結婚した者同士、「赤い糸で結ばれている」と言われる。
ここでは、『黒い糸で結ばれている』という話。
かなり、ショッキングな内容。
しかし、なぜか「そういうこともあるのかな」と妙に納得しいる自分がいる。
そして、超大物が登場している。
その名は、夏目漱石。
タイトルは、『夢十夜』。
「こんな夢を見た」から始まる10話。(実際は1,3,5話)
その中で特に印象深かったのは、第3夜。
人間の生まれ変わりについて書かれた話。
「夏目漱石がこんな文章を書くんだ」と驚く。
何よりも新たな発見がある。
それは、結城昌治氏の存在。
恥ずかしながら、初めてこの名前を知った。
当然、今まで彼の本を読んだことがない。
この本では、『替え玉計画』、『葬式紳士』の2話が取り上げられている。
この2つがとても面白い。
『替え玉計画』は、綿密な計画のもと、自分が考えたようにコトが実行されていく。
しかし、最後に大どんでん返しが待っている。
そういう結末かと感嘆する。
『葬式紳士』は、大企業の社長のイスを賭けた戦いに乗じて、ライバルを蹴落としたいと思う人に取り込む殺し屋の話。
殺し屋と言えば、紳士的でスマート。
しかしここで描かれている殺し屋は、その真逆。
我々が想像する殺し屋とのギャップが興味深い。
この本を読んで、結城昌治氏について少し調べてみた。
やはり、異色の経歴の持ち主。
今後、結城氏の著書も読んでみたいと思う。
そして、このシリーズで読んでいないのは、第2巻『影』だけ。
また、図書館に行って借りよう。