世間一般において、不動産投資や不動産賃貸業は、俗に『不労収入』と言われる時がある。
結論から先に言いたい。それは、以下に示した2つ。
✕ 間違った考え ⇒何もせずに収入を得ることができる。
〇 正しい考え ⇒恒常的(日常的)には時間を拘束されないだけ。
昔ながらの大家さん(オーナー)の中には、いまだに借地借家法を理解していない人が多くいるように思われる。
特に、2020年の民法大改正は絶対に知らなければいけないこと。
分かりやすく言うと、『絶対的に借主優位』。
ちょっと話がそれるが、借主優位を悪用?したのが、一部のサブリース業者による問題。
この問題は、私からすると被害者にも過失があると同じように、借地借家法を理解していなかった大家さんにも責任の一端があると言ってもいい。
さて、話を戻す。
不動産賃貸業の間違った考え『何もしない』を具体的に見ていく。
①借主からの修繕依頼があった場合。
すぐにアクションをとり、聞き取り調査、現地調査し、修繕が必要な場合はすぐに対応(業者へ依頼す等)する必要がある。
当然だが、借主の故意または過失がない場合は基本的には貸主(大家さん)の負担。間違っても、借主に請求してはいけない。(貸主の修繕義務)
大家として知っておきたいことは、民法改正において『(貸主が)修繕できないと、貸主は当然に賃料を減額してもよい』となったこと。
少しでも法律を知っている借主さんだと必ず主張するはず。
一応、大家さんにとっても救済措置がある。
免責日数の目安がガイドラインに記されているので目を通しておくとよいだろう。
②借主の近隣トラブル等の場合。
例えば、借主から「隣人がうるさい」「ゴミの出し方が悪い」などの不満や苦情などである。
これらの内容は、故障や修理と異なり、モラルやマナー面のため、非常に難しい。
しかし、難しい内容だからと言って、大家さんが「わたしにはできません。」というのは完全にアウト。
例えば、大家さんが自己管理しており、仕事で出張中に入電
大家:「今、(本業の)仕事で出張中です。5日後に帰ります。それから対応します。」
借主:「5日もかかるんですか」
これでは、訴えた借主は不満や苦情の対象が大家さんにも向けられてしまい、問題がより複雑化してしまう。
借主にとって、大家さんが出張中であろうと全く関係がないこと。
必ず、訴えた人、訴えられた人のどちらに対しても、素早く、誠意をもって対応しなけれんばいけない。
③賃料の未納、滞納等の場合。
この問題もよくあり、大家さんを悩ませる。
血気盛んな大家さんが、玄関ドアに「家賃を払いなさな」などの張り紙をしたり、職場に電話してプレッシャーをかけたり、勝手に入ったりすることは完全にアウト。
法律的には「自力救済の禁止」。
逆に大家さんは損害賠償請求や刑事罰を問われてしまう。
まずは、借主としっかり話し合いを持つ場を設けたり、保証人と連絡を取ったりすることが先決。
それでもダメな場合は、裁判手続きへと移行する。
ただし、裁判になると、多大な「お金」と「時間」を費やすことになる。
そうならないための対策としては、保証会社への加入、親族や保証人の連絡先を聞くなどがよいだろう。
以上、3つの場合をみてきた。
対策としてまず考えられるのは、管理会社を使うことだろう。
私もほとんどの物件を管理会社にお願いしている。
概ね、賃料の5%程度かかるが『管理料』は経費として計上できる。
実際に入居者の孤独死、賃料未収対応、困った入居者対応を経験し、その際には管理会社に多くの力をお借りした。
別に、管理会社の回し者ではない。
ただ私が言いたいのは、賃貸経営を『不労収入』、すなわち『何もしなくてもいい』という間違った考えは正さなければいけないと思う。
経営者としての自覚をしっかり持った大家さんが少しでも増えることを期待したい。