前回紹介した、大下英治著『スルガ銀行かぼちゃの馬車事件』の続きの内容。
『スルガ銀行かぼちゃの馬車事件』は、不動産投資に関係ない人でも、臨場感あふれる内容で面白い内容なはず。
ましてや、不動産投資をしている人にとっては、とても勉強になる。
前回は書籍の感想を述べた。
今回は、以下の2点が自分自身にも直接関係しており、その事実を知って、衝撃を受けたのでお伝えしたいと思う。
①歩積両建(ぶづみりょうだて)。
②スルガ銀行のデジタル通帳の凄さ。
具体的に見ていく。
①の分積両建(ぶづみりょうだて)という言葉をご存じだろうか
恥ずかしながら、私はその存在すら知らなかった。
この『歩積両建』は銀行法で禁止されていること。
※歩積両建・・・金融機関のお客様に対する貸付に関連して作成される拘束的な預金のこと。
金融機関が貸出を行うときに、その貸付金の一部を強制的に預金させることも含まれる。
金融機関の優位的立場の濫用として金融庁が禁止している。
本書では、スルガ銀の融資の条件として定期預金などを組まされていた。具体的には200万円を定期預金にし、それとは別に毎月10万円ずつ定期積立をすることが融資の条件とされた。
私はこの文を読んで、自分も歩積両建をやらされていると感じた。
それは、昨年購入した中古アパートの購入資金を地元地銀に融資を受ける際に、銀行担当者から以下のように言われた。
担当者:「毎月2万円ずつ修繕積立をしていただくことが融資の条件となっています。」
私:「そうなんですか?しかし、まだ半分が空室の状態なので、もう少し待ってもらえませんか?」
担当者:「分かりました。また連絡します。」
半年後に2室空室の1室が決まった段階で渋々、毎月2万円の修繕積立を開始する。(ささやかな金額だが・・・)
現在も毎月2万円ずつ修繕積立を行っている。
これは明らかに地銀による歩積両建。
しかし、この修繕積立は築古中古アパートの修繕で使えるため、必ずしも悪いものではない。
次は②についてである。
静岡県に在住しながら、今までにスルガ銀行とほとんど縁がなかった。
しかし、昨年の秋ごろに、何かの用事で自宅近くの支店を訪問。
その時、最後に行員が『デジタル通帳』を勧める。
最初は、乗り気ではなかったが、話を聞いていくうちに魅力を感じる。
それは、デジタル通帳を作成すると、10回/月までの振込み手数料が無料とのこと。
私の知っている限りでは、3回/月まで無料である金融機関がある。
それでもすごいと思っていたが、スルガ銀行の場合は10回/月。
これは魅力的だと思い、デジタル通帳を作成した。
私たちの場合、店舗経営も行っているため、パートさんへの給料の振り込みがある。
1回の振込み手数料が660円だとして、月10回振り込むと、6600円。
年間にすると、8万円近くになる。
また、銀行にいかなくても、いつでもどこでも振り込むことが可能。
これのデジタル通帳は本当に魅力的だ。
では、なぜ、スルガ銀行は、このようなサービスをして電子通帳(デジタル通帳)を推し進めるのか?
その答えの一端をこの書籍から感じ取る。
事件以降、家電量販店『ノジマ』が筆頭株主となる。
ノジマは、『フィンティック』(金融と技術の融合)を考えていることが紹介されている。
したがって、電子通帳、デジタル通帳等を強力に推し進めているのだろうと納得する。
以上のことから、2回に分けて、大下英治著『スルガ銀行かぼちゃの馬車事件』を題材として紹介した。
改めて、不動産投資の奥深さを学んだ。