きっかけは、弁護士のユーチューブ。
その弁護士曰く:
弁護士:「マスコミ報道は一時的、断片的になりがち。その後の経過を知りたければ、実際に裁判所に行き、裁判を傍聴することをお勧めする。」
国民に開かれた裁判の観点から、傍聴は自由とのこと。
そこで、自宅から最寄りの地方裁判所で公判日程を調べる。
裁判員裁判の第4回公判の日程と私の副業?で勤務する障害者福祉施設の休日と重なる。
当日の朝、裁判所に電話。
私:「初めての傍聴希望者です。本日の第4回公判を傍聴したいのですが・・・。」
担当者:「先着順となります。定員になり次第、締め切ります。」
私:「服装や決まりはありますか」
担当者:「特になりません。帽子は入廷の際、脱帽していただきます。」
私:「ありがとうございました。」
開廷時刻が10時のため、1時間前の9時に到着。
余裕を持ったつもりだったが、法廷前に多くの人がいる。
係員:「傍聴希望者ですか?」
私:「はいそうです。」
係員:「(カード番号20を手渡し)、これを持ってください。」
数分後に、私の次の傍聴希望者が来る。
すると、係員がその人に話しかける。
係員:「傍聴席が満席です。希望者が辞退した場合、入廷が可能となります。」
その傍聴希望者は諦めて帰っていく。
私が最後の順番だったことを初めて知る。
開廷時刻20分前。
大きな風呂敷をもった2人組の男性と、大きなカバンとリュックを背負った2人組の男性が現れ、なにやら話をする。
確か、テレビドラマか何かで見たが、風呂敷に書類を包んで法廷に入るのは『検事』だったような気がする。
この4人の男性は弁護士と検事か
いよいよ開廷時刻となり、傍聴席に座る。
すでに、先ほどの弁護士と検事は席に座っている。
被告人と思われる男性も待機している。
係員から開廷中の注意事項等を話を受ける。
しばらくすると、裁判官と裁判員が入廷。
その際、我々傍聴人を含め、その場にいる全員が立ち上がり、裁判官と裁判員に一礼する。
午前中に2名の証言が行われる。
検察官、弁護人、裁判官からそれぞれ質問を受ける。
それぞれの質問が終わるたびに休憩が入る。
被告人は、公判中は手錠が外されるが、休憩になるたびに手錠・腰縄が付けれる。
手錠を付けたり、外したりするときの何とも言えない音。
「ガチャ、ガチャ」という金属音は耳に焼き付く。(実に嫌な音)
目の前で手錠を付けたり、外したりする姿を見て、改めてゾッとする。
TVドラマではなく、事実が目の前で繰り広げられることを突きつけられる。
事件の内容を詳しく述べられないことをお許し願いたい。
罪名は『傷害致死』。
建設現場での出来事。
4人組チームで作業を行って、そのうちの1人が死亡。
死亡した被害者は建設仕事に素人な初老。
他の若い3人に日常的に暴力を振るわれていた模様。
そして、事件当日、屋上でぐったりしているとの通報から救急搬送。
その後、死亡が確認。
死因に関して、病院は不審な点があることに気づく。
事件から約半年後に3人を逮捕。
被告3人は暴力をふるっていたことは認めている。
しかし、屋上での出来事であるため目撃者がいない。
また、暴力が直接の死因になったかも争点と思われる。
午後は、テレビドラマさながらの法廷。
弁護側の証人は脳神経外科医。
弁護人が発言をしている際に、検察官が、
検察官:「異議あり」
検察官:「その件については、公判前手続きで終わっているはず(以下略)」
その後、
証人:「(手を挙げて)裁判官」
裁判官:「証人はしゃべらないでください」
裁判長は、証人の発言を遮る。
裁判官、検察官、弁護士のそれぞれの思い、考え、心情が複雑に交錯する。
当初は、午前中で帰ろうと思っていた。
結局、最後までいてしまう。(午後4時過ぎに閉廷)
人生初の裁判を傍聴しての感想。
当然、亡くなられた方は被害者。
しかし、大きな括りで言えば、被告の若者もある意味で『被害者』だと思う。
若者3人には、素人に対して、仕事を教えるだけの技量があったか
被告達の生い立ちは、どうだったか
以下のようなことは、誰でも言える。
・人を殺すことは絶対ダメ
・殴ったり、蹴ったりして最低
・当然、実刑だ
人が人を裁くことの重さを痛感。
色々と考えさせられた1日。
時間が許せば、皆さんにも裁判の傍聴をお勧めしたい。