2019.06.30 日生劇場 ドニゼッティ作曲 歌劇『愛の妙薬』 | たっぴーのムジカしくない日記 "Incominciate!!"

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主にオペラの感想等を亡備録として書き連ねていこうかなと思ってます。
その時感じたことをそのまま書くようにしてますので、文筆がおかしいことは多々ありますが、良ければご覧下さい。

今日の愛妙は、これまで観た愛妙の中でも断トツで素晴らしかった!!
「これがイタリアの総合舞台芸術だ!!」というべき愛妙とでも言いましょうか。

まず、幕が開き「あぁ」とため息が漏れましたよあたしゃ。
舞台があまりにも美しかったのです。それを見るだけでもチケットの何割かの価値があったと思うくらい。演出で感心したのは、合唱の各々が、多種多様に演技をしてる前でソリストが歌っていても、決して合唱がソリストの邪魔をしないということ。必ずソリストに目がいく。面白いくらいに。これってオペラでとても重要なことだと思います。そして、歌うべき所は基本的に前を向いて歌わせている点にも注目したいです。
粟国さんはオペラの魅せ方を熟知されていて、どの舞台を見てもいつも本当に素晴らしいです。この作品は演出家デビュー作でもあるそうなので、より基本に忠実な美しい舞台に仕上がっているのかもしれません。

ソリストは、役をよく心得た歌唱に拍手喝采で、合唱もさすが藤原の完成度。
ほんとに、このプロダクションによる愛妙の虜になりました。「この舞台が妙薬なんじゃないかドゥルカマーラ先生!!」そんな風に聞きたいくらい。

ソリストのみなさま、それぞれの役にぴったり。さすがは、オーディションを勝ち抜いただけあるなと思いました。
小堀さんのウナフル、中井さんのプレンディ、歌唱ではこれが特筆すべき素晴らしさでした。会場のみんなが固唾を飲んで見守るとはこのことかと思うくらい集中して聞き入っていました。もちろん私も。二人はアリアだけでなく、重唱やシェーナもどこも素晴らしかった。我らが小堀さんのネモリーノデビューに、静岡出身というだけでもはや身内感を勝手に感じている中井さんの藤原デビューは大成功でした!!
あとは、大石さんのコメパリもBravoでした。二重唱も良かったなぁ。声がつやっつやで安定感もあって非常にベルカント。もっと色々聴きたい!!
網永さんもこれから期待出来る逸材だということはわかりました。「ネモリーノのおじさん亡くなったのよ…」では、ジャンネッタのアリアかと思うくらいに目立ってました。オーラがあるね。うんうん。

ちなみに、ネモリーノが非常にロマン派的で、恋に一途な青年として描かれましたが、小堀さんの声にそのアプローチはぴったりでした。1幕終盤のアディーナに対する切なる願いや、「じゃあ俺もう兵隊になって死んでやる!!先生に騙されたってことだ!!」という辺りの真に迫る演技は、もはや喜劇を忘れさせるものでもありました。ウェルテルくらい恋に悩んでいましたよ。
それに対するベルコーレは、ロマン派以前の恋は貴族のお遊びというような感覚で、ある意味では全てがおおげさに、わかりやすく、ステレオタイプという対比が面白かったです。
また、ドゥルカマーラが怪演で、良い意味で真面目で単調になりそうな舞台の雰囲気をぶっ壊す役割を果たしていたのが、逆に全体の調和を図っていて良かったと思いました。

ただ、ひとつだけもっとこうだったら良かったなということがあります。それは指揮のテンポです。遅すぎた。音楽が死んじゃうんじゃないかと思うくらいのとこもありました。恐らく今回の全体的なコンセプトも考えてのことかとも思いましたが、ウナフルとプレンディ以外は概して遅かったという印象。ある意味趣味の問題なので、良い悪いというか、僕としてはもっと早い方が良かったなと感じたと、まぁこういうわけでやんす。

素晴らしい粟国演出が観れ、しっかりベルカントオペラを歌える若手が日本に育ってきたということを実感出来て、大満足の日生劇場でした。

あ、あと、今回は、焼津中央高校合唱部の先輩や後輩たちと観に行ったのですが、みんな満足していた様で何よりでした。勧めた手前やはりそこは気になる。ちなみに50代30代20代10代での参戦。わが焼津中央はどれだけ縦の繋がりがあんだろう(笑)

あ、あと、あと、そう言えば帰りに有楽町辺りで粟国さんにばったりお会いしたので、「愛妙素晴らしかったですよ」とお伝えさせてもらいました。その数秒後、昔のバイトの先輩にも会いました。すごい偶然でした。