ボローニャ歌劇場来日公演 ロッシーニ作曲 歌劇『セヴィリアの理髪師』に行って来ました!!
ボローニャのセヴィリアというと、僕としては未だに忘れられない高2の時の来日公演を思い出します。
自分が部活でヴェルディの仮面舞踏会にあけくれてた頃、ヌッチのレナートを当時VHSが擦りきれて映像が白黒っぽくなってしまったのに見続けていた頃、GPで「お前は、座っているだけならミラノ・スカラ座」と言われていた頃、ボローニャが来たんです。フローレス、カサロヴァ、ヌッチ、プラティコ、Gフルラネットという豪華すぎるソリストで!!
地方在住、i-modeが流行り始めた頃でスマホはない時代、ネットもそれほど発達してない、情報もない。テレビもない。車もそれほど走ってねぇ。いかん、吉幾三になってしまう。
気付いた時には高い席しかなくて、泣いて親に頼んだけど行かせてもらえなかったんですよね。悔しい思い出が昨日のことのように思い出します。
あれから17年!!ー綾小路きみまろみたいな世界に入ってきそうですがーようやくボローニャ歌劇場によるセヴィリアを観賞出来たわけです。17年ごしの思いがようやく実ったわけです。
前置きが長くなりましたが、さすがのボローニャ歌劇場でしたよ。
まず、ソリストが豪華です。Theイタリアというのか、Theロッシーニというのか、僕はこういうソリストでセヴィリアを聴きたかったんだというお手本のよう。イタリア行かないと、こういうソリストでは聴けないんだよねぇと思っていたものが日本で叶った、そんな感じ。
ソリストの表は写真をご覧下さい。
ね?ほら!やばいですよね?
シラグーザ、マルフィ、デカンディア、ロマーノ、コンチェッティ、ケリーチですよ。ケリーチて。ボローニャだからやんこんなん。最高かよ。
シラグーザはロッシーニ好きならもう神みたいなもので、しかもアルマヴィーヴァ伯爵は福岡公演で350回目という自家薬籠中のもの。デカンディアも素晴らしいロッシーニ歌いで、個人的に彼でずっと聴きたかったフィガロ役。マルフィは今はモーツァルトとロッシーニを主軸に活躍していて、ロジーナは日本を含め世界中で歌っています。どちらかと言えばスター性を持ったメゾ。そして、ロマーノのバルトロにコンチェッティのバジリオというのがほんとに粋です。こういうキャスティングに「あぁ安心」と思えるんですよね。イタリア万歳というのか。ロマーノは若手のブッフォで近年1番注目してましたし、コンチェッティはアバドのフェラーラのコジを見てからずっと聴きたかった。冒頭でも少し触れましたが、ケリーチのベルタがイタリア感を感じる。うん、豪華でおつですね。
シラグーザは少ーしお疲れの様でしたが、53歳とは思えないレッジェーロの軽やかさは健在で、瑞々しさがあるのが凄かったです。ころっころ転がるアジリタが気持ち良かった!!好きだなぁ、ほんとに。カヴァティーナも最後のアリアも余裕に歌い上げていましたよ。
僕は歌い終わってから「Bis」の声を2回掛けました。それはそれはびっくりするくらいその声が響きました。すると、「チョットマッテ」と言って、アリアの後半からBisに応えてくれました。舞台上の全キャストが入り交じり、デカンディアやマルフィ、コンチェッティなどが会場を煽り、客席はそれに手拍子で応戦、舞台上では合唱部が列をなして躍りながら歌いながら練り歩き、お祭り状態でBisを楽しみました。めちゃ盛り上がりました!!!
終演後に気になったのでシラグーザ本人に確認してみました。
「僕、Cessa di piu…のアリアの後に、Bisって叫んだんだけど聞こえた??」
「(目を丸くして)…あーーー!!君だったのかー!!」と言って頭をぐりぐりされました。なんでしょう、とりあえず、大好き(笑)
そんなわけで、東京公演の最終日の盛り上げに寄与できたらしくて良かったです。
デカンディアは今回の公演の軸というか、舞台をうまく回しながら、観客との距離も詰め、親方のような存在感で舞台を引き締めていました。まさしく、フィガロにぴったり。カヴァティーナ前の舞台裏からの「ラーララララララララララー」がめちゃいい声で笑ってしまいまい、そこから終演までずっと素晴らしかったです。去年末の新国ファルスタッフも最高でしたが、フィガロも最高でした。デカンディア間違いない。インディアン嘘つかない。
マルフィは金沢での同じくロジーナぶりでしたが、その頃より確実に歌の技術をあげてきてますね。声に表現力が増したように思います。また重い、ではない、女性としての力強さが加わったように思います。彼女はアジリタが転がりまくるようなタイプではありませんが、ベルカントなかっこいい声とでも言いましょうか、ズボン役なら任せろやいという様なすっきりとしたクリアなメッゾボーチェが、まだ伯爵夫人ではないロジーナのやんちゃな感じに合っていて良かったなと感じました。ただ、声の感じから、そろそろロッシーニをキャリアの中心には置かないようになるんだろうなという感じはしました。
ロマーノは、もしかすると本調子ではなかったのかなという気がしましたが(アリアの時だけ少ーし気になっただけ)、「これや!!五郎くん!!!これがイタリアのブッフォなんや!!!がーっはっはっはー!!!」と白い巨塔の財前又吉なら実弾持って狂喜乱舞しそうなくらい、バルトロしてました(笑)動きがイタリア人のブッフォを得意とする歌手特有の、そのー、なんだろ、あのー、とにかく上手いのよ動きが。ダーラとかコルベッリとかデ・シモーネとか、ほら?ね?わかりますよね?なんかあるじゃないですか、独特のあのー、うまさ?動きだけで感動してましたよあたしゃ。動きだけじゃないぜ?お歌の方も歌いこなれていて素晴らしかったです。ロマーノ聴けて良かった!!また聴きたい!!新国、わかってるね?頼むぜい!!!
コンチェッティも上手かったなぁ。こんなに良いとは思ってなかったです。これだけのソリスト揃えると、お前は誰やねん的な、ロシアの大味で何言ってるかわからないバス歌手がキャスティングされそうですけど、ベルカントで聴きやすい、何言ってるかよく分かるコンチェッティのバジリオを聴くことが出来て満足。普通に美声なバスです。歌唱はやや控えめで目立ちはしないけど、いい仕事してる感じ。
ベルタのケリーチ、拍手です。一瞬、いや、終幕まで「これ、湯婆婆やんけ。もしくは、新喜劇の末成由美やん、あ、となると、要するに湯婆婆やわ。これ湯婆婆が先なのか末成由美が先かわけわからんようになるわ。卵と鶏のあれやん。いや、この場合湯婆婆が先か」とどうでもいいことを思わせてくれた、かつらの件はさておき、アリアを表情たっぷりに歌い上げてくれて、しかもがっつり後半のバリエーションでも楽しませてくれました。こういう脇も充実してるところがさすがだよね。
オケと合唱もとても良かった。序曲からロッシーニクレッシェンド全快で、マエストロサンティがイタリアはボローニャの風を渋谷に巻き起こしました。最初の和音を聴いただけで、イタリアの空気みたいなものを感じました。正直イタリアに行ったことはありませんが、伝統に裏打ちされた「正統な」ロッシーニが聴けた気がしたのです。ボローニャすごいなって。これがイタリアの名門かと。ロッシーニと言うと、溌剌とした軽やかなオーケストラをイメージしますが、それが行きすぎると厚みのない面白くないオーケストラになってしまう。マエストロはその辺りの調整が非常にうまかったように感じます。ただ、序盤オケが集中してないんちゃうかという場面が何度かありました。それもまたイタリアかと思ったり(笑)
舞台はカラフルでポップなもの。ドールハウスのようなかわいらしさがあって、見やすかったです。それに合わせた衣装も、それぞれのキャラクターが色分けされていて分かりやすいし、原色をたくさん使っていたので、鮮やかなグラデーションが目にも楽しく、このどたばた劇をより楽しい雰囲気にしていたように思います。所々ソリストが舞台上で遊んでたり、ゆるーい感じになったりしたけど、それも含めて楽しかったです(笑)
いやー、今回のボローニャ歌劇場のロッシーニは眩かった。音楽がキラキラしてました。
すんばらしかった!!
ただ、ただね、平日のマチネ…おかげで席はかなり空いてしまっていました。
それが実にもったいなかったな。
空いてるなら後輩に行かせてあげたかったわぁ。
残念だったのはその席のことと、舞台の転換が手間取ったのか、音楽が始まってもガチャガチャ音がしていたのが気になったくらい。
17年越しのボローニャ歌劇場のセヴィリア。最高でした。素晴らしいロッシーニをありがとう。






