事故物件告知について | 福松ゴチンの独り言のブログ

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令和3年5月21日の中日新聞の記事より。

「事故物件」告知に初指針(案)

について、少し真面目なお話しをします。

 

 

「事故物件」とは、いろいろ定義はありましょうが、簡単に説明すると、

不動産取引の対象となる物件が、

事件・事故・火災その他が起きた物件であり、

その物件において、

入居者等が死亡等をした物件のことを言います。

「告知事項あり」と表示する場合もあります。

「心理的瑕疵物件」と言われることもあります。

 

 

これら事故物件を扱う不動産業者は、買主や借主に、

「この物件は事故物件で(=告示事項のある物件で)、

●●年前、●●●ということが起こりました。」

と告知すべきというルールがあります。

 

しかし、このルールは明確なものではなく、

・どの程度の事件や事故は告知すべきか

・何年経過すれば告知しなくてもよくなるのか

その判断は各不動産業者に委ねられてきました。

 

例えば…

取引対象の物件内で、

「1年前、夫婦喧嘩して、旦那さんが奥さんを殴ってケガさせた」とします。

事件と言えば事件です。

でも、この事実を買主(借主)に告知しなくても、不動産業者が責めを負うことはありません。

 

「1年前、夫婦喧嘩の末、旦那さんが奥さんを殺してしまった」

この場合は、当然、告知しなければなりません。

 

では、

「50年前、夫婦喧嘩の末、旦那さんが奥さんを殺してしまった」

は、どうでしょう。

50年も前のことだから、言わなくてもいいでしょ、と判断する不動産業者が多々いるはずです。

 

 

例えば…

「昨年の大雨で裏のがけが崩れ、取引対象物件内で寝ていた所有者が亡くなった」場合、

これは当然告知すべきです。

 

では、

「昭和34年の伊勢湾台風の際、取引対象物件を含むこの地域で多くの方が亡くなった」

「1560年の桶狭間の戦いの際、この地域一帯は血の海になった」

はどうでしょう。

この場合、ほとんどの不動産業者はわざわざ告知しないと思います。

 

じゃ、

告知すべき事件・事故等と、

説明しなくてもいい事件・事故等の境界線はどこ?

これまで各不動産業者に判断が委ねられてきた部分に関して、

国土交通省が初めて指針を示した、

というのが今回の記事です。

 

記事にはこんなことが書いてあります。

 

取引対象物件内において、

「病気による死亡」

「老衰による死亡」

「転倒事故による死亡」

は告知の対象外、つまり、不動産業者が告知しなくても責めを負わない、ということです。

(死亡後発見までに時間を要した場合は告知対象となる場合あり)

 

「殺人」

「自殺」

「火災による死亡」

は告知すべきだが、

賃貸の場合は、発生から3年経過すれば告知不要、とのことです。

 

あくまでも指針(案)ではありますが、

本来の目的は、

「買主(借主)とのトラブルを未然に防ぐ」

ことなはずですが、

この指針が正式に決まると、

大手不動産業者を含め多くの不動産業者は、杓子定規的に適用させて、

本来伝えた方がよい告知内容も、告知されないままになってしまう場合が増えるような気がします。

 

 

過去に事件・事故等が起きた物件は、

買主(借主)が契約するかどうかの判断に大きく影響します。

しかし、その影響度合いは、

個人により大きくことなります

 

したがって、

国土交通省の

指針による線引きは

とても怖い。

 

殺人事件は、発生から3年経過すれば告知されないらしいが、

この部屋を借りるつもりだが、殺人事件が起きた部屋なら、

何年前の事件でも嫌なものは嫌、という方、

老衰による死亡があったそうだが、
そもそもこの部屋で誰かが亡くなったのなら嫌、という方、

こういうような方にとっては非常に怖い指針となる訳です。

 

 

ここら辺の説明する姿勢で、不動産業者の良し悪しがわかるように思います。

不動産購入(賃借)に縁起を担ぐ人がとても多いのも事実。

本来の目的は、「買主(借主)とのトラブルを未然に防ぐ」こと。

お客様に対象物件のネガティブな情報を積極的に説明する不動産業者が、

よい不動産業者、よい営業マン、という風に思います。

 

事故物件にはくれぐれもご注意下さいませ。----------