こんにちは、ボート部4年の関です!
信濃川で練習していると、たまに水面にふわ〜っと茶色い泡が帯のように流れているのを見たことはありませんか?あの付近に行くと結構臭いですよね笑
私が現役のころよく目にしていて、そのたびに「洗剤由来の泡なのかな?」と思っていましたが、調べてみたところ植物プランクトンや藻類によって分泌された多糖類やタンパク質であったり、腐葉土由来のフミン酸という(ネバネバした性質を持つ)有機物と川の水が混ざり合った状態、つまり水中の粒子や気泡を安定化させる『エマルション』に類似した現象だということが分かりました!
エマルションという単語はおそらく初見だと思いますが私が専門としている有機化学では非常になじみのある単語で、水と油のように通常は混ざらない液体同士が、界面活性剤などの働きで均一に混ざり合った状態を指します。マヨネーズや牛乳もエマルションの代表例です。
生成した物質を分液漏斗で分液する際、これに何度も苦しめられてきました。合成した有機物の中には試薬として用いた水溶性の塩基や金属イオンなどの不純物が含まれていることがあり、分液することで水層にそれらの不純物を移すのですが、物質によってはそう簡単に分かれてくれず、層の境界で非常に安定した第三の層になっていることが多々ありました。これをなくすためにはまず静置させることが一つの対処法としてあげられるため、1日中放置したこともありますが全く改善せずかなりショックを受けたこともありました笑。また、酸を加えて電荷のバランスを崩すといったアプローチもあったため塩酸を加えてエマルションを破壊しようと試みましたがうまくいかず刻々と時が過ぎ・・・と、そんなある日ふと溶媒をクロロホルムという物質から酢酸エチルという物質に変えたところようやく分離が成功したんです!どうゆう理屈でエマルションが溶けたのか初めはよくわかりませんでしたが、どうやら溶媒の極性が関係していたらしくクロロホルムより極性の高い酢酸エチルがいい感じに界面に吸着した塩類などの乳化剤を溶かしてくれていたようです。
川に形成される泡は厳密にはエマルションではなく液-気系のコロイド分散という別の原理で成り立っていますが「第三の物質(界面活性剤)が水と混ざらないものを安定化させる」という点で界面科学という共通の土台を持っており、非常に親近感が湧いたというお話でした。