現在、ヌース出版のホームページが更新できないため、こちらで新刊の告知をさせていただきます。
本日、ヌース教養双書の新刊をオンデマンド版で発行いたしました。
『国際社会との関わり方を考える』
(渡邉昭夫 著)
2017年12月27日発行
定価:1900円+税
ISBN978-4-902462-21-0
(内容)外交や国際社会と日本との関わりについて分かり易く解説。日本戦後外交研究の第一人者である著者が、一般の読者を前にして語りかけるような調子で書いた貴重な随筆的作品。
(著者紹介)昭和7年8月千葉市生まれ。東京大学名誉教授、青山学院大学名誉教授、平和・安全保障研究所副会長。大平正芳総理大臣の政策研究会にて環太平洋協力のグループに参加。細川、羽田、村山三内閣の防衛問題懇談会に参加。
<立読みコーナー>
グローバリズムの趨勢が語られる一方で、それと一見逆行するかに見える、「地域化」が近年の国際情勢の一つの特徴であり、21世紀に入ってからの20年は特にその傾向が目立つようです。なぜそうなるのかについて、少し詳しく見ておきましょう。前講で地域化についてお話ししたのと同様に、グローバリズムの趨勢を推し進める力は、経済がその主なものです。少し前まで経済的相互依存と呼び慣わしていたものが近年ではグローバリズムと呼ばれるようになりました。経済現象は国境を超えて行われるのが一番効率的なので、ヒト、モノ、カネ、そして情報の流れを国境で妨げられないようにしようと考える人々が多いし、これからもその傾向は変わらないでしょう。このいわゆる「自由化」を推進するためには2国間で、あるいはある地域内の国々の間で協定を結ぶことがいろいろと試みられています。このような自由化推進のための協定に加わる国の数が多い方が良いのか、参加国を限定した方がよいのかは、なかなか決め難い問題ですが、数を限定した方が話がまとまり易いので、ヨーロッパとか、米州とか、東南アジア、また TPP のようなアジア太平洋地域を対象としたものなどがあります。しかも、単に関税を撤廃するだけでなく、商習慣や、競争原理などの差も無くすといった、より質的に深化したものを目指すようなものもあります。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、そのなかでも、参加国の数から見ても、質の深さから見ても、大変野心的なものです。他方、歴史の長さからいえば、ヨーロッパの EU が最初に念頭に浮かぶでしょう。2017年に起こったいろいろな出来事―――イギリスの EU 離脱の国民投票や、TPP 脱退を公約に掲げたトランプ候補の米国大統領当選など―――は、経済のグローバル化の流れに水を差すように見えるので、今後の見通しは難しいし、中にはアメリカをはじめとする欧米諸国が先頭に立って進めてきた第2次世界大戦後の自由な国際経済秩序は戦後72年にして終りを迎えようとしていると(私は少し早まった考えではないかと思いますが)論じている方も少なくないようです。だが、スイスのダボス会議で、中国の習近平国家主席が、アメリカの反グローバル化や保護主義を批判し、アメリカにとって代わって中国が自由貿易体制の守り手であるかのような姿勢を誇示して見せたのは、奇現象とでもいうしかありません。というわけで、経済的相互依存の今後はどうなるのでしょう。気になるこの問題については、また後の方で考えることにして話を進めましょう。
(本文「重要さを増すアジア太平洋地域」より)
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