2015💛福井市議会平成27年度9月定例会本会議 堀川議員 文字起し(一般質問より抜粋)

 ◆27番(堀川秀樹君)

 市民クラブの堀川でございます。通告に従いまして3点質問させていただきますので,どうかよろしくお願い申し上げます。

 まず最初に,行政コストの縮減と障がい者の就労支援のための無水掘工法導入についてお尋ねしたいと思います。

 昨日も雨が降りまして,中学校の体育祭に影響が出たということを聞いております。ゲリラ豪雨,爆弾低気圧といった言葉が毎年飛び交い,日本各地で土砂災害が起きている次第です。特に2014年,昨年の8月20日に発生いたしました広島市の土砂災害は,死者74人,避難対象者2,335人にも及ぶ大惨事となり,その悲惨な光景は記憶に新しいものでございます。また,福井市におきましても,2006年7月19日に杉の木台地区におきまして土砂崩れが発生し,親子2人が亡くなるといった痛ましい事故が起きており,この災害が急傾斜地に対する安全対策に注目が集まる起点となりました。

 現在,福井市には,土砂災害警戒区域,いわゆるイエローゾーンが2,468カ所,規制の厳しい土砂災害特別警戒区域,いわゆるレッドゾーンが2,264カ所存在し,土石流や地すべり等の危険にさらされている状況であります。

 対して,こういった土石流や地すべりといったものを未然に防ぐための対策といたしまして事前防災工事があるわけでございますけれども,予算的に問題もありまして,残念ながら十分な対策になっていないのが現状であります。

 そんな折,急傾斜地や崖を補強したり,くいを打ち込む土砂災害防止工事の際,水を使わず掘り進めることのできる無水掘工法という新技術が開発され,国土交通省技術調査課は,国道の防災工事でコストが21%縮減できたと,大変高い評価をしておりまして,近畿,九州を中心に約120カ所の公共工事で採用され,特に大阪府はその採用率が100%となっております。

 このような理由から,明らかに公共工事のコスト縮減となるこの無水掘工法の導入を検討するべきと考えるものでありまして,ちなみに,福井県が平成23年度,平成24年度,平成25年度の3カ年で土砂災害防止工事でこの無水掘工法を導入していたと仮定いたしますと,その縮減額は6,612万円となります。財政的に見ても,この無水掘工法が全国的主流になるであろうと思われる中,まず,防災及び財政の立場から,その御所見をお尋ねしたいと思います。

 次に,私が,この無水掘工法を導入していただきたい最も大きな理由を申し上げます。それは,この無水掘工法の新技術特許権を有する特定非営利活動法人NETIS新技術活用協働機構が障害者施設と連携いたしておりまして,障害者が自治体のホームページ等々で発注工事をチェックし,そのデータを機構に伝えることにより,その時点で手数料が発生し,障害者の施設に支払われるという仕組みになっています。さらに,機構がそのデータをもとに土木コンサルタント会社や設計業者に働きかけをして,契約が成立しますと,その工事費の中から成功報酬が障害者施設に支払われるというダブルの仕組みになっているわけであります。

無水掘工法をこの福井市が採用されますと障害者施設の障害者が福井市のホームページを見て,また,その他の情報から無水掘工法に適した事業を見つけ出し,機構に報告するという,今までになかった全く新しい仕事が生まれるわけであります。障害者施設は,その手数料を得た後,その情報をもとに契約が成立すると,今度はその成功報酬が振り込まれるといった仕組みになっていることが非常に大きな収入源となるわけであります。

 また,その業者がそれ以降も無水掘工法を使った工事を受注する限り,継続してその報酬を得ることが約束されています。その権利が確立しているわけであります。

 就労継続支援事業所が障害者に支払う工賃を引き上げることが可能となるわけでありまして,現在,都道府県別の平成25年度の就労継続支援B型事業所の平均工賃は,実は福井県が全国で断トツの1位でありまして,それでもわずか1万9,733円にしかなっていません。つまり,1カ月働いて1万9,733円にしかならないわけであります。

 厚生労働省の平成25年度の調査によりますと,全国的には平均月額1万4,437円でありまして,時間額,いわゆる時給に換算しますと,たったの178円にしかなっていません。これが現実であります。だからこそ,この全く新しい仕事が生まれ,かつ,その財源が民間からのロイヤリティーであり,さらにそれが公共事業のコスト縮減にまで貢献し,災害を未然に防ぐことのできる,この魔法のような仕組みを考えない手はないと思います。福祉の立場から見た御所見をお尋ねしたいと思います。

 ◎工事・会計管理部長(山本浩隆君) 無水掘工法の導入についてお答えいたします。

 掘削したのり面または崩壊の危険性のある急傾斜地等においては,のり面の風化や侵食を防止し,斜面の長期安定を図るため,のり面保護工を施工いたすものでございます。

 こののり面保護工のうち,滑り破壊が懸念されます箇所では,岩盤までボーリングを行い,鋼材を挿入するロックボルト工やロックアンカー工などを施工いたします。

 御提案いただいております無水掘工法は,鋼材を挿入するための穴を水を使わずにボーリングするための工法でございます。

 本工法は,国土交通省の新技術情報提供システム,通称「NETIS(ネティス)」に登録されていたものでございますが,平成26年10月に新技術の登録が外れまして,現在は一般工法という扱いになってございます。しかし,施工実績もございますので,有効な技術の一つとして認識しております。

 のり面保護工を施工するに当たりましては,本工法を含めた工法の中から,現場条件や施工条件を考慮し,また,工事コスト,環境対策及び施工性等を総合的に勘案した上で,最適な工法を採用してまいります。

 

 ◎福祉保健部長(港道則男君) 無水掘工法障害者の就労支援についてお答えします。

 この工法に関連して,障害者が雇用される仕組みですが,まず,工法の特許を有するNPO法人と障害者就労施設が業務提携を結びます。その後,施設の障害者の方が,自治体のホームページなどで公共工事の発注状況を調べ,工法に適した工事の情報をデータ化して法人に提供し,報酬を得るものであり,さらにこの工法が工事に採用された場合に,障害者就労施設が法人から特許料の分配を得るという,新たな形態の事業と理解しております。

 このような障害者の方の雇用創出や収入増による経済的自立につながる仕組みは,障害者の方々の支援に有効であると考えております。

 

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 ◆27番(堀川秀樹君)

 自席にて再質問させていただきます。

 今ほどの無水掘工法についてですけれども,その工法が使える条件といいますか,結局水を使うことが不向きな現場もあるわけでございまして,そういった現場のときには採用することも可能であると考えてよろしいのでしょうか。最適な工法を採用するということは,そう捉えてよろしいのでしょうか。お尋ねします。

 それから,今ほど障害者の立場として福祉保健部長にお話しいただきました。大変ありがたい御答弁でございまして,そういった福祉の面でも非常に貢献度が高いと思いますので,ぜひともこの工法をどんどん取り入れていきたいと言っていただきたいと思います。

 

 ◎工事・会計管理部長(山本浩隆君) 議員お尋ねの現場条件が合えば採用されるのかというお話でございますが,それぞれの工法の特徴がございまして,その現場状況に合えば今後,この無水掘工法も採用させていただくことになります。

 

           

                       障がい者工賃向上支援センター&SDGs第三の雇用の場創生

          特定非営利活動法人 NETIS新技術活用協働機構 理事長 永見博希

             有限責任事業組合 無水掘工法設計比較検討支援事務所 代表 永見博希

                               JOSシステム研究会 元代表 永見博希

                                                   オーナシステム株式会社 代表者 永見博希