最近日本は戦闘機用のエンジンXF9とか言うのを作ったけどあれは試作エンジンで実際に戦闘機に乗せる実用エンジン開発にはまだまだ時間がかかる。ただ「うちだって作ろうと思えば作れるんだぞ」と言う意思表示でそれがあるとないでは外国の対応が全く違う。作れないと足元を見られるが、一応それなりのものを作れれば様々な交渉もずっと違ってくる。F2の時は日本にはエンジンが作れないと見られて米国にいいようにあしらわれた。
戦前の日本も航空機用エンジン技術では欧米に一歩も二歩も遅れていた。概ね米国などのエンジンのコピーから始めてそれを下敷きに国産エンジンを開発していた。だから日本が新しいエンジンを開発すると欧米はその先を行っていた。太平洋戦争が始まっても日本は1千馬力級エンジンが主流で戦闘機用の小型高出力のものが出来なかった。また過給器も遅れていてターボチャージャーやスーパーチャージャーも実用化できなかった。そのために高性能な高高度戦闘機の開発が遅れていた。
また日本と言う国は何でも小さく作りたがる。航空機用エンジンも抵抗を減少させるとか言って無暗に直径の小さいものを作ったが、精密になり過ぎて工作技術がついて行けずに自滅した。それが誉エンジン(ハ45)で別に少しくらい大きくなっても安定した性能のものが出来ればその方が良かったのではないだろうか。海軍の雷電や陸軍の二式単戦などは爆撃機用の大馬力エンジンを装着したが、雷電は抵抗を減らそうとして機首を絞ってエンジンにプロペラ用の延長軸を取り付けたら振動が発生して自滅した。その点では陸軍の二式単戦のように頭でっかちになってもその後ろから機体を絞り込んだ方が良かったのかもしれない。
B29が出現すると海軍は天雷、烈風改、震電、閃電、陸軍はキ87、キ94ⅰ、キ94Ⅱ、キ102、キ108など高高度戦闘機をいくつも開発したが、結局高性能エンジンが作れずにどれもものにならずに自滅した。要は安定して2千馬力を出せるエンジンと高高度で性能を落とさないようにする過給機が出来れば機体は紫電改でも雷電でも疾風でもよかったのだ。
欧米ではエンジンを換装して古い機体の性能を上げて使っていた。零戦に誉をつけてもよかったように思うが、日本は何でも際を狙った余裕のない設計をするのでダメかもしれない。零戦も52型の時に金星に換装しておけばもう少しまともに使えただろうに惜しいことをした。三菱の金星と言うエンジンは古い設計だが、安定したエンジンでインジェクションも水メタノール噴射も安定して使えたし、排気タービン過給器も比較的問題はなかったようだ。馬力ばかりではなく排気量も大きいのでトルクも大きかっただろう。そうすると加速などもよくなる。
いずれにしても安定して大馬力を出せるエンジンが作れなかったことが航空機開発で英米に後れを取った大きな原因だろう。技術と言うものは継続して開発を行っていかないと進歩しない。最近のいい例が三菱スペースジェットの失敗である。50年間民間ジェット旅客機を開発していなかったのが、何よりの失敗の原因である。本来であれば国が主導して事前に実用機とは別に試作機を作ってから商用の実用機の開発に進めばよかったんだろう。半導体も然りで安い半導体を求めて外国に技術移転をしてしまったので半導体後進国に落ちてしまった。
日本も戦後の航空機空白で一気に水を開けられた欧米に米軍機の修理整備から始まって70年、地道に開発を継続したおかげで軍用機の分野ではやっと欧米に追いついてきた。技術と言うものは一足飛びには進歩しない。太平洋戦争前には日本も一生懸命努力はしたが、やはり欧米には一歩も二歩も遅れていた。技術は正直できちんと継続してやっていれば必ず花は咲く。その辺をしっかり認識して国として必要な技術開発にはしっかり投資して継続していくべきだろう、・・(^。^)y-.。o○。
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