国政選挙の演説会場で、再び要人が標的となった。衆院補欠選挙の応援で和歌山市を訪れていた岸田首相が15日、襲撃された事件。政策を聞こうと多数の有権者が詰めかけた現場に悲鳴と怒号、そして爆発音が響いた。現場で取材していた本紙の記者2人が一部始終を目撃した。(竹内涼、村越洋平)
現場の和歌山市雑賀崎(さいかざき)の雑賀崎漁港は、朝から小雨が降っていた。衆院和歌山1区補欠選挙の応援演説のため、岸田首相が姿を見せたのは午前11時17分。集まった約200人の聴衆から歓声が上がり、岸田首相は笑顔を振りまきながら、漁協関係者の案内で、地元で取れたアシアカエビなどを試食していた。聴衆は、十数メートル四方のエリアに集められ、岸田首相には近づけないようになっていた。周囲では多数の私服や制服の警察官が目を光らせていた。
午前11時27分、岸田首相が演台の近くに移動し、間もなく演説が始まろうかという時だった。「カラン」。聴衆エリアの真ん中あたりから、何かが岸田首相の方に投げ込まれ、乾いた音が響いた。当時、岸田首相は聴衆に背中を向けて立っていた。隣にいた尾花正啓・和歌山市長は「首相に『この場所は(イタリアのリゾート地の)アマルフィに似ています』と紹介しようとした瞬間、煙に気づき、1メートルも離れていない場所に瓶のようなものが転がっていた。何が起きたのかわからないまま、警察官に抱えられて現場から離れた」と振り返る。岸田首相も、周辺にいた警護員(SP)に守られ、すぐに現場から避難した。
聴衆の女性から「キャー」という叫び声が上がった。聴衆の方にカメラを向けると、怒号が飛び交い、もみ合いが起きていた。警察官がものすごい勢いで「離れて!」と叫びながら走り、男を取り押さえている様子が見えた。その直後、「ドーン」という爆発音とともに空気が揺れ、白い煙が広がった。聴衆が悲鳴を上げながら避難する中、何が起きたのか理解できないまま、カメラのシャッターを切り続けた。
木村隆二容疑者(24)の近くにいて、取り押さえた漁師の男性(54)は「(容疑者は)投げ込んだ後、カバンの中からまた何かを取り出そうとしていた」と証言する。抑え込んだ際、銀色の筒のようなものが地面に転がり落ちたという。木村容疑者は黒色のパーカ姿で、眼鏡とマスクを着け、リュックを背負っていた。取り押さえられた際、足をばたつかせていたが、まもなく抵抗を諦め、パトカーに乗せられて和歌山西署に連行された。現場には銀色の筒が残され、県警の捜査員が周囲を封鎖。聴衆が帰った後も、物々しい雰囲気が漂っていた。聴衆の中にはパニックになり、涙を流す人もいた。40歳代の女性は「安倍元首相の事件が頭をよぎった。こんな静かな漁師町で事件が起こるなんて」と声を震わせた。
演説直前に「カラン」と瓶状のもの、首相が退避後に「ドーン」…飛び交う怒号と悲鳴(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
選挙運動の警備は本当に難しい。候補者は厳重な警備を嫌うし、できるだけ聴衆と距離を置かないようにしようとする。近寄って握手でもしないと票にならないからだ。しかしそうすると不審者、テロリストも接近を許してしまう。安倍ちゃんの場合も選挙応援の警備は概ねあんなものでまあできれば後ろを塞いだ方が良かったと思う。今回も未把握の対象者で警備する警察側にとっては「啞然」だろう。ただ画像で見た限りさほど威力がある爆発物とは思えなかった。ただパイプ爆弾だと作り方によっては大量殺傷兵器になる。警備対象者を防弾盾で囲うわけにもいかないだろうし、防弾ベストを着けさせるわけにもいかない。それでは支持者として集まってくれた聴衆を信用しないことになってしまうし、弱気にも見えてしまうだろう。候補者はそうしたイメージを非常に気にするので目立って重防御ができない。日本は世界でも指折りの先進国で民主主義を標榜する国家なのだから選挙に対して暴力はいけない。政治家にもおバカが少なくないが、それはやはり選挙で淘汰していくべきだろう。今回の被疑者がなぜテロに走ったのか分からないが、一昔前のように極左集団ではなく個人でテロをやるようになるとそうした人物の把握も難しい。何だか嫌な世の中になってきたようだ、・・(◎_◎;)。
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