報道ではEVに話題集中
トヨタは2023年4月1日付で、社長と副社長が新体制へ移行したことに伴い、同年4月7日に報道陣向けに新体制方針説明会をおこなった。これを受けたこれまでの各種報道では、EV(電気自動車)に係るニュースが目立つ印象がある。なお、トヨタはEVをバッテリーEV(BEV)と呼ぶが、本稿では一般的な用語としてEVで統一する。

確かに今回、「2026年までにグローバルでEV10車種を投入し、EVの年間販売台数150万台を目指す」と説明したのだから、bzシリーズの多角化やレクサスEVの導入が今後3年間で一気に進むことになる。また、2026年には、製品企画と設計を大幅に見直し、またトヨタ生産方式を基盤とした新しい製造工程を導入する、次世代EVを量産することも明らかになった。
こうしたEVに関する公表内容から「トヨタがEVでも欧米や中国メーカーを一気に追い上げる体制を敷いた」という解釈をすることも可能ではある。ただし、トヨタ側は、これまで公表してきたEVに関する基本方針に沿って準備を進めてきた中で、進捗状況をこのタイミングで発表したものという説明だった。筆者の印象としては、EVや電動化に関する今後の取り組み対しては、「想定内」と見たメディアが多かったと思う。その上で、今回の目玉は「トヨタモビリティコンセプト」だったのではないだろうか。

モビリティ・カンパニーへの道
新体制になり、佐藤恒治社長は改めて「これから私たちは、モビリティ・カンパニーへの変革を目指していく」と強調した。そうした将来事業に対する基本方針を明文化したものが、トヨタモビリティコンセプトだ。コンセプトというと、製品企画における技術やデザインの試作というイメージを持つ人が少ないないかもしれないが、トヨタモビリティコンセプトは、試作ハードウェアを指すのではなく、「将来事業の概要図」という位置付けである。

そこには大きく3つの領域がある。まずは、「モビリティ1.0」から見ていく。ここでは、次世代のクルマの利活用方法を融合することで、クルマの価値を拡張を目指す。事例の1つが、クルマを蓄電池として使う「エネルギーグリッド」だ。グリッドという考え方は、スマートグリッドといった表現が使われることが多い。一般的には、主に電力を一定の区域や地域で地産地消する仕組みを指す。トヨタはこれまでも、プラグインハイブリッド車や燃料電池車を使うエネルギーの地産地消を考えてきた。今後は、多様なEVモデルが市場導入されることによって、エネルギーグリッドに関する様々なビジネスモデルの構築が可能になるだろう。

知能化をより広い分野で複合的な構築を目指す
EVがエネルギーでつながるだけではなく、モビリティ1.0では対象をEVに限定せず、トヨタ/レクサスの各モデルを活用した知能化の観点でも新しい展開を見込む。クルマの知能化といえば、通信で情報がつながるコネクテッドカーという考え方がすでに普及している。トヨタ車は、DCM(データ・コミュニケーション・モジュール)と呼ぶデータ通信機を標準装備し、車載データをクラウドで集積/解析する仕組みを構築している。ここに、ウーブンバイトヨタが開発した、ソフトウェア基盤「アリーン」を融合することで、クルマから得たデータの多様な利用方法が考えられるだろう。

次に、「モビリティ2.0」だ。
ここでは、トヨタは移動に対して「誰ひとりも取り残さない」という企業としての姿勢を貫く。具体的には、居住地を問わず高齢者に対して、また中山間地域で過疎が進む交通不便な地域の住民に対して、そして交通インフラが整ってない経済発展途上の国や地域での公共交通システムの構築やパーソナルモビリティの積極的な活用を目指す。最後に、トヨタモビリティコンセプトの3つ目の領域である、モビリティ3.0では、モビリティ1.0とモビリティ2.0を含めたような、クルマと社会全体が融合する大きな取り組みとなる。

世界が変動する中、トヨタも柔軟に動く
モビリティ3.0は、社会全体で活用するエネルギー、交通システム、物流、そして人々の日々の暮らしという観点も交えた、モビリティが社会と創るエコシステムの構築を目指すとしている。このようなトヨタモビリティコンセプトで描かれた項目については、これまでもCASE(コネクテッド/自動運転/シェアリングなどの新サービス/電動化)という観点で、自動車メーカー各社が異業種や行政機関と連携して実証試験をおこなったり、また一部では実用化されている場合もある。

トヨタとしても、自社やトヨタのグループ企業がこれまでに、CASEに係る基礎研究や実証試験で培った知見を活かし、さらにウーブンシティという近未来型実験都市をフル活用することで、トヨタのモビリティ・カンパニーへの変革を「見える化」させていく構えだ。ただし、自動車産業界を取り巻く状況は刻一刻と変化している状況にある。欧米と中国によるグローバルでの環境関連投資の争奪戦が激しさを増している。また、欧州では車載データの管理方法について標準化の動きがある。そうした中で、トヨタモビリティコンセプトをリアルワールドに反映させるためには、トヨタとしてフレキシブルな対応が必須となるだろう。今後も、トヨタ新体制の動きをじっくりウォッチしていきたい。(桃田健史(執筆))

 

EV戦略ばかり注目されるが…… トヨタ新体制が最も強く伝えたい「モビリティ・カンパニー」への変革(AUTOCAR JAPAN) - Yahoo!ニュース

 

トヨタが将来やろうとしているのは車単体の開発販売ではなく都市交通システムとか都市間交通輸送システムの開発ではないだろうか。世の中はBEV一辺倒だが、トヨタはFCVや水素エンジン、合成燃料などの開発も同時に行っている。FCVや水素エンジンはインフラの発達具合にもよるが、FCVは充電時間が必要ないので一般の乗用車よりも交通輸送機関向きではある。東京都内をFCVのバスが多数走っているが、大井火力発電所の近くに水素スタンドがあってよく出入りしている。ウーブンシティなども都市とシティコミュニティシステムの実験だろう。車を単なる移動の手段としてではなく都市の機能維持に組み込んだらどうなるかという実験でもあるだろう。日野はエンジンデータ偽装で外れてしまったが、いすゞなどと長距離輸送システムの研究も行っている。完全自動運転車両が完成すれば人間は一部の趣味的な車両を除いて車を所有する必要はなくなる。ネットで呼んで行先を入力して目的地に到着すればデジタル決済で料金を払い、車は勝手に営業所に帰って行く。こうなるとスマホさえ持っていれば、そのころにはスーパースマホになっているだろうが、何時でも車を呼んで目的地に行けてデジタル決済さえすませば車は勝手に帰って行く。子供だろうが高齢者だろうが、スマホがあればだれでも利用できてドアトゥドアでどこへでも行ける。都市の中は常に無人のロボットコミューターが走っていてどこにでも行ける。長距離輸送は先頭車両だけに運転者が乗車してその後を無人車両がついて行く。そして郊外に大きな配送施設を設けてそこで大型車から小型のシティトランスポーターに乗せ換えて市内を配送する。長距離旅客輸送も今の高速バスを何台もつなげた大量輸送システムを構築して先頭車両のみに乗務員が乗車して複数の無人車両を運用する。そしてターミナルに行くと車両の編成がバラけて行先ごとに新たな編成となって目的地に向かう。まあまだまだ先の話だが、そんな未来のシティコミューターシステムやインタシティコミューティングアンドロジスティックシステムなんてものを考えているのだろう。個人で車を所有してそれを運転して移動するというのは過去のものになって行くのだろう。トヨタはそんな未来を見ているのかもしれない、・・(◎_◎;)。

 

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