クラウンの大変身で一気に注目の的になったファストバック。いまファストバックがカッコいい!
特に中高年の心に刺さる。カムバック!美しくもスカしたファストバック車たちよ!
※本稿は2022年9月のものです(文/清水草一、写真/ベストカー編集部 ほか・初出:『ベストカー』2022年10月26日号)

■新型クラウンの衝撃!!ファストバックが時代の主役だ!?
一気に4車種も公開され、世間をあっと言わせた新型クラウン。そのうちの2台、クラウンクロスオーバーとセダンは、ファストバック形状だった!どちらも独立したトランクを持つ「ファストバックセダン」で、ファストバックの王道たる5ドアハッチバックではないが、そんなことはいい。だってどっちもカッコいいから。あのクラウンがファストバックにリボーンして、時代に取り残されたおっさんセダンから、一気にイケてる存在になったのだ!その衝撃は計り知れないぜ!思えば、過去2代のクラウンは、若返りを模索し、もがいていた。

14代目アスリートはカチッとしたスポーティなフォルムに、イナズマグリルを装着。15代目は、サイドを6ライト化し、ファストバック風にリアピラーを大きく寝かせた。しかし、どちらも中途半端で、おっさん未満の層を動かすことはできなかった。付け焼刃は通用しなかったのだ。しかし新型は違う。ファストバック化によって山は動いた。すでに全国民が強く反応し、「クラウン、カッコいいね」となっている。そして、ファストバック全体がイケてる存在になりつつある!ファストバックが時代の主役になるらしい!

■ファストバックの定義
ファストバックとは、ノッチ(折れ)を持たない、速い背中(fastback)。つまりボディラインが「近道」したバック形状のことだ。トランク部分がノッチで独立しておらず、リア後端まで直線的に傾斜しているものを指す。多くはハッチバック車だが、独立したトランクを持つ場合もある。ハッチバック車はほぼ自動的にファストバックに含まれるが、小型ハッチバック車の場合、バックの傾斜がキツくなる。今回、それらはファストバックには含まないことにした。目安は、リアウィンドウの傾斜角が30度前後であること。つまり、ある程度全長の長い、中・大型車が中心となる。

■懐かしの5ドア ハッチバック
ステーションワゴンブームがやってくる直前の1980年代、5ドアハッチバックの国産車が、次々と発売された。ファストバック形状の5ドアハッチバックは、セダンとワゴンの中間的存在。スタイリッシュでスポーティなのに積載性も高いということで、ヨーロッパで人気があり、日本でも売れるのでは?と期待された。1980年に発売されたホンダ・クイントは、その嚆矢。典型的な5ドアハッチバックボディを持ち、いかにもヨーロピアンなフォルムはツウ受けしたが、販売は思ったほど伸びなかった。

 1981年には、日産スカイライン(R30型)に5ドアハッチバックが新設された。ルーフからテールにかけて一直線に伸びたラインは斬新だったが、当時はカッコ優先なら2ドアクーペ、実用性優先なら4ドアセダンの二択で、5ドアハッチバックはどちらの選択肢にも入れず、まったく売れなかった。1987年には、マツダ・カペラCG(シティギア)が発売された。カペラは1982年の4代目にも5ドアハッチバックが設定されていたが、不振。5代目では捲土重来を期して、あえてCGの名が与えられ、よりスタイリッシュにブラッシュアップされたが、これまた不振に終わった。

あの頃の日本人には、5ドアハッチバックの存在意義が理解されなかった。アウトドアブームもまだ来ていなかったので、トランクにいろいろ積んで遊びに出かけよう、というムーブメントもなく、5ドアハッチバックは、ひたすら中途半端で取り柄のない、無意味なボディ形状に見えたのだ。いつの間にか、「5ドアは日本では売れない」という法則ができあがり、レガシィツーリングワゴンがワゴンブームを巻き起こすと、完全に忘れ去られ、消えたのである。

【番外コラム】もちろん本家はスポーツカーだった
三菱 ランサーセレステ。ギャランFTOの後継モデルとして登場。スペシャルティカーのはしりでもあった。1980年代、国産5ドアハッチバックが登場する以前は、ファストバックと言えば、2ドアや3ドアのスポーツ系モデルばかりだった。スポーツカーは、ノッチバッククーペとファストバックが2大勢力。セリカのように「クーペ」と「リフトバック」(ファストバック)の両方を用意するモデルもあった。個人的に現代のファストバックに通じるものがあると感じるのは1975年に発売された三菱ランサーセレステだ。スッキリした直線ラインのファストバックスタイルは、スカした都会的なイメージで、今見てもイケてるぜ!


新型クラウン登場でおっさん狂喜&若者にもウケてる!? 今こそ逆襲のファストバック!!(ベストカーWeb) - Yahoo!ニュース

 

新型クラウンアウトバック、第一印象は「でかいな」だ。正面から見ると幅も広いが、何よりも高さがある。横からいてもやはり高いなと思う。そしてホイールがまたデカい。21インチって自衛隊の軽装甲機動車のようなでかいホイールがついている。その割にタイヤは225・45/R21なんて意外に幅が狭いタイヤをつけている。スタイルはハッチバックでこの形式の車、日本では人気がないが、なかなかいいと思う。荷物の出し入れが便利だし、スタイルも悪くない。ディーラーの展示車は一番上のモデルで2.4リッターターボHVで車体にオプションのヒレがついて640万、諸費用その他込みで700万くらいとか。フロントデザインはGRモデルなどで定番の大きい四角いグリルがついている。ライト周りは細目の横型でこれもなかなか格好いい。でもやはりデカさでビビる。実家の車庫にはちょっときついかも知れない。まあ塀を取り払えばいいんだろうけど、・・。納期は6カ月から1年弱とか。ディーラーさん曰く、「この2.4ⅬターボHV、結構速いですよ。ちょっとびっくりするような加速します。でも燃費はHVにしてもあまりよくないです」だそうだ。まあ悪くはないけどこの手の車には興味がない。でもファストバック(ハッチバック)が復活するのはいいことだと思う。スタイルはいいし、便利で使いやすいこの形式が嫌われる理由が良く分からない。大きく方向性を変更したクラウンだが、悪くはないと思う。売れるんじゃないの。ただ時代はBEVだからねえ、・・(^_-)-☆。

 

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