新型コロナ感染症が拡大しても語学商売の方は在宅で時間が余っているのかネット受講が増えて好調である。英語のほかにフランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語、中国語、韓国語のほかにベトナム語、インドネシア語、ヒンディー語からアラビア語まで結構需要が広い。主に商売の関係だろうけどそういうところはうちの社長はなかなか目敏くて各種言語を手広くやっている。

 

語学も一昔前は欧米が主流だったが、今では東南アジア、南米、中東など商売の相手国が主流になっている。ただそれぞれ人を雇うとそれなりに金がかかるのでプログラムを作っては外注させたり他とコラボしたりしてやっているのはリスク分散ということで賢いのかもしれない。もっとも「企画室なんだからお前たちのところでやれ」なんて投げられた日には目も当てられないが、言語と言うのはそれを理解できない人間には何とも御し難いものなんで投げられても万歳するだけでどうしようもない。

 

そんな人間たちの右往左往には全く我関せずという風情で大ドラ公は毎晩僕に寄り添ってきて膝の上や腹の上でご満悦だった。もっともこの夏の暑い時期にバカでかいドラ猫に寄り添われるとそれだけでむせ返るような蒸し暑さを感じるので抱えて放り出すと恨めしそうな顔をして「グエ」とか鳴いている。仕方がないので3回に1回くらいは適当に相手をしてやっている。そういう時は大ドラ公は満足そうな幸せそうな表情でうっとりしている。お互いに命をかけてバカ犬と戦った戦友なのでそうそう邪険にもできない。きったない大ドラ公でも寄ってくれば悪い気はしない。

 

コロナのせいで在宅勤務が多くなって暇なのでリードを買ってきて大ドラ公を散歩に連れて行くことにした。最初は嫌がっていたが、無理やり引きずっていくとずるずるとついてくるようになった。昔から猫は放し飼いと決まっていたようだが、最近は「猫は部屋で飼え」とか何とか言っているし、散歩にリードを使っているのもたまに見かける。ただ何しろ規格外にでかい、犬で言えば中型犬くらいある大ドラ公なので目立つこと夥しい。一度なんか110番されてお巡りさんが来た。トラだかヒョウだか猛獣を連れているとか通報したのがいるらしい。トラやライオンはともかくヤマネコくらいには見えるかもしれない。

 

やって来たおまわりさんに「これは育ち過ぎた普通のドラ猫だ」と説明するとちょっと腰を引いてじろじろ見ていて大ドラ公が挑戦的に「グエ」とか鳴くとさっと腰を引いた。「子猫のころに意地汚く食い過ぎたんじゃないの」と言うとお巡りさんは苦笑いして「確かに大きいけど普通の猫ですね。わかりました。ではお気をつけて」と言って離れて行った。「お気をつけて」と言うのは周りに気をつけろと言うことだろうか。普通の猫と言っているが、僕自身、この大ドラ猫は普通の猫ではないのは明らかだと思っている。

 

周りは犬と言ってもちんころばかりでうちの大ドラ公の相手にはならないし、たまにちょっと大きめの犬が来ても犬の方がビビっている。野良猫にも出会うが野良公はこっちの様子を見るとさっと姿を隠してしまう。こんなにでかくてきたなくて憎たらしい大ドラ公でも飼い猫と言うのは人とのかかわりを求めるが、野良公は人間とかかわったことがないのでそのかかわり自体が理解できないようで常に警戒を怠らず許容範囲の内側に入ってくるとさっと逃げ出す。人間が自分をかわいがってくれるという認識がないのだろう。まあ追い回されて生きているんだろうから信用しろと言う方が無理な話なのかもしれない。

 

これまで猫などあまり気を遣わなかったし、その辺にいても「ああ、いるな」で終わっていたが、自分の手元に規格外の大ドラ猫が来るとほかの猫にも何となく注意が向く。しかし猫の方は大きなお世話とばかりさっと姿を消してしまうのはそういう訳なんだろう。あるいは連れている大ドラ猫に恐れをなしているのかもしれないが、・・。この大ドラ公、何もないときは僕の後ろをのたくらずるずる歩いているが、たまに大きな犬、と言ってもせいぜいゴールデンレトリーバーくらいだが、が来ると急に顔が獣の顔になって僕の前に出て戦闘態勢を取って犬をにらみ付けている。どうも僕を守るつもりの様でその辺はなかなか涙ぐましいが、さすがにあのでかさですごむと何だか迫力がある。相手の犬公もビビっているようで距離を取ってよけて通って行く。でも犬が行ってしまうとまたぐずぐずずるずる後をついてくる。戦闘モードとぐうたらモードの落差が激しすぎるやつではあるが、ネコ族と言うのはそういう生き物なのかもしれない。

 

日本ブログ村へ(↓)