今日は終戦記念日、終戦記念日と言うと聞こえがいいが、あからさまに言えば日本が米国にコテンパンに負けて無条件降伏した日と言うことになる。今では独伊と組んで中国や東南アジアを侵略した日本を米国などが打倒した戦争ということになっているが、事実はそんなに簡単に正義と悪が割り切れるものではない。

日本は当時中国と戦争状態になっていた。これは上海の租界保護という名目からずるずると全面戦争に深入りしたものでその辺はうまくやれば中国全土を手に入れることができるという思惑もあっただろうし、逆に中国共産勢力からすれば日本と国民党を戦わせて共倒れにしてその間隙を縫って中国を支配するという思惑もあっただろう。ただこれを侵略と言われればそれは確かにやむを得ないことだろう。

あまり余計な欲を出さずに中国国民党を経済軍事的に支援して中国の共産化を防止してやれば日本の運命も現在の世界の情勢も変わっていたかもしれない。米国との戦争は、勝った方が正義の理論を振りかざすのはやむを得ないので日本が悪いことになってしまうが、太平洋戦争は当時の日米の西太平洋と中国、東南アジアをめぐる覇権戦争でそこに英国、オランダなど東南アジアに利権を有していた国が絡んできたもので日本だけが悪いということでもない。

米国はアジア進出が遅れていたので何とかその遅れを取り戻すとともに欧州のナチス勢力を打倒することを第一の目標としていた。そのナチスと組んでいる日本を打倒すれば一石二鳥、何とか日本に先に手を出させようと経済封鎖などで圧迫を加え、何とか日本に先制攻撃をさせて参戦の大義名分を得ようとし、それが成功して戦争となった。

当時とは価値観や考え方も違うので無理だろうが、英米に中国との間を仲介させて経済権益の保全を条件に中国と講和して撤兵し、日独伊三国同盟は中立保留とでもしておけばよかったんだろうが、今とは価値観がまるで違うし、中国全土の植民地化と言う大きな利益に陸軍が目がくらんでいたので無理だっただろう。「海軍は米国と戦えば負ける」と分かっていてもそれを言い出したら組織の存亡にかかわるということで戦争に突入してしまった。

工業生産力で10倍とも20倍とも言われていた当時の米国に軽工業中心で経済的にも技術的にも後進国の日本が勝てるはずもなく「米国とまともに戦えるのは2年」と言う海軍の見立て通り、そのままに敗戦へと転げ落ちて行った。当時の最新技術の航空機用エンジンもプロペラもび米国の技術を元に発展して、それでも3年から5年は遅れていたと言うのだから話にならない。1945年当時、英米は3千馬力級航空機用エンジンやさらにはジェットエンジンまで実用化していたのに日本は2千馬力級エンジンも試作の域を出てはいなかったし、日本も何とかジェット機を試作して飛ばしたが、米国はP80と言うはるかに高性能なジェット戦闘機の量産が始まっていた。当時の日本がどんな兵器を作ろうが、米国とは大人と子供くらいの埋め難い差がついていた。

こうして米国はナチスを打倒してアジアの権益を手に入れたが、思う通りには行かないもので朝鮮半島で共産勢力の攻勢に遭い、韓国を守るために戦い、その後はベトナムでやはり共産勢力の攻勢にベトナム戦闘と言う泥沼に突入して行った。仮に日本が中国国民党を支援して米国との開戦を回避していればその後のアジアの様子は変わっただろうが、アジアの共産勢力は活発に活動しただろうからその対応は日本が主になって当たらないといけなかっただろう。朝鮮半島などは日本が待ったなしで当事者になる。

戦争というものは無益なものだが、戦いは人間の本性なので人間がいる限りなくならないだろう。第二次世界大戦後も戦争は起こり続けているし、たまたま75年戦争に巻き込まれなかった日本もかなり危ないところまで追い込まれている。それよりも日常生活でも武器の代わりに経済力や知力などを使った戦いはありふれている。直接命を奪わないまでもそうした戦いで自殺に追い込まれたり生活苦に落ち込んだりするものも多いだろう。日本が戦争に巻き込まれないことを祈りたいが、それも風前の灯火かもしれない。先の戦争で命を落とされた方たちの冥福を祈る、・・。

 

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