◇コロナ改善の兆しで内閣支持率38%
菅内閣の支持率は下げ止まったのだろうか。社会調査研究センターと毎日新聞が2月13日に実施した全国世論調査の内閣支持率は38%。依然、不支持率(51%)を大きく下回る低空飛行ではあるが、内閣の発足した昨年9月の64%から今年1月の33%まで下落したところで踏みとどまったように見える。

5ポイントの上昇に転じた原因は明らかだ。菅内閣の支持率には新型コロナウイルスの感染状況と連動する傾向があり、その感染状況に改善の兆しが見え始めたことだ。緊急事態宣言が延長された10都府県では新規感染者数の減少で宣言解除が視野に入り、菅義偉首相が「感染対策の決め手」と繰り返すワクチンの医療従事者に対する接種開始も迫る。

調査では、ワクチンに「期待する」との回答が81%に上り、1月調査の72%からさらに増加した。一般の国民が接種を受けられる見通しはなお示されていないが、出口の見えない閉塞(へいそく)感に淡い光が差し込んだようなイメージだろうか。ワクチンへの期待が支持率の下げ止まりにつながったのだとすれば、菅政権にとってはここからが正念場である。ワクチン接種の目的は、できるだけ多くの国民に接種を受けてもらい、社会全体で集団免疫を獲得することだ。ワクチンの効果や副反応について丁寧に説明し、国民の理解を得ながら進めなければならない。いつもの「説明は控える」姿勢では乗り切れない重大局面なのである。

菅首相自身、よくわかっているから河野太郎行政改革担当相をワクチン担当相に指名したのだろう。河野氏に課せられた重大ミッションは、政府内の縦割りを排して全国津々浦々まで円滑にワクチンを届けること、そして、菅首相の苦手とする国民への説明役である。調査では8割がワクチンに期待しているにもかかわらず、自分がワクチンの接種を受けられる状況になったら「すぐに接種を受ける」と答えたのは39%で、「急がずに様子を見る」の52%を下回った。ワクチンに「期待する」と答えた層だけで見ても「すぐに」と「急がずに」がともに48%と、まさに半信半疑の状況にある。期待の高まりに菅政権の「説明力」が追いついていない。

◇政権支持層の「森発言」擁護論
今回の調査は、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言で辞任を表明した翌日というタイミングになった。森氏が後任にいったん川淵三郎氏を指名したものの白紙に戻る混乱もあったが、内閣支持率への影響は軽微に終わったと言えそうだ。調査では、森氏について「辞任は当然だ」が69%を占め、「辞任する必要はなかった」は21%だった。ただし、内閣支持層では「当然だ」47%、「必要はなかった」39%と差が縮まることをどう考えるか。森氏の発言を不問に付す回答の多くは政権擁護の気持ちからなのかもしれない。そうだとしても、安倍晋三前首相の掲げた「女性活躍」の看板政策は後継政権の支持者に広く共有されてはいないようだ。

森氏の女性蔑視発言によって、「多様性と調和」を掲げた東京五輪の看板も傷ついた。ただでさえコロナ禍への懸念から中止・延期論が広がりを見せている。逼迫(ひっぱく)する医療現場にはこれからさらに地域住民へのワクチン接種という大業がのしかかる。海外から大勢のアスリートを迎え入れられる状況なのか。ましてや観客を入れての競技開催なんて……。今回の調査では携帯電話での回答者に、東京五輪・パラリンピックを開催すべきかどうかについて自由に意見を書き込んでもらったところ、中止・延期を求める声があふれた。一方で「人類がコロナに打ち勝った証し」として五輪・パラリンピックを開催する決意表明を繰り返してきたのは安倍前首相と菅首相だ。その栄誉を来冬の北京に譲るのかという複雑な思いも世論には交錯する。

◇疑念と皮算用の現在地
日本国民だけでなく、世界が歓迎する形で東京五輪・パラリンピックを開催する。このミッションを成功に導くには、徹底したコロナ対策とともに、国民と世界へ向けた丁寧な説明が求められる。「GoToトラベル」に固執してコロナ対策が後手に回り、森氏の発言に即座に毅然(きぜん)とした態度が取れなかった菅首相に任せられるのか。そうした疑念のにじむ内閣支持率38%の現在地である。

あなたは、ワクチンの接種が進めば新型コロナウイルスの感染が広がる前の日常が戻ると思いますか? 今回の調査で設けたこの質問に「思わない」との回答が60%を占めた。人々は「コロナ後」を楽観しているわけではない。それでも、少しでも明るい未来を求めて今を耐えている。日本の政治はその思いを国民と共有できているだろうか。

東京五輪を「復興五輪」と位置付け、「東日本大震災からの復興を世界に発信する機会」とすることを訴えてきたのも安倍前首相と菅首相である。しかし、今回の調査で被災地の復興状況について尋ねたのに対し「復興は順調に進んでいる」との回答は20%にとどまり、半数近い46%が「期待したより遅れている」と答えた。東日本の広範囲で大きな揺れが確認された2月13日深夜の地震は、発災から10年が過ぎようとしている今も大震災は継続中なのだという現実を私たちに突きつけた。

「ワクチン」と「五輪」で内閣支持率が回復した後に衆院解散・総選挙――。そんな皮算用も先走る菅政権だが、にわかづくりの「説明力」では甚だ心もとない。【世論調査室長・平田崇浩】

 

「ワクチン」「五輪」で問われる政権の説明力(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 

菅さんと言う政治家が、コツコツと正直に、まあ政治の世界だから真っ白と言うことはないにしても、地道に努力をして総理まで上り詰めたことは良く分かる。でも総理大臣と言うのはまじめにコツコツやればいいというものでもない。国民に自分のやり方を理解してもらうには、そして人気を博するには、パフォーマンスや発信力も必要だ。デジタル化社会と言ってもそうしたら国民には何の利益があるのか、生活はどう変わるのか、脱炭素社会の創設もそう、2050年までに脱炭素社会を実現するというが、それでどう変わるのか、国民に何の利益があるのか、そうしたものが何も見えて来ない。オリンピックもコロナもそう、コロナを制圧してオリンピックをやって、その後に世の中はどうなるのか、国民生活がどう変わるのか、そう言うことが一切見えて来ない。いくら金を配っても国民はありがたいとは思わない。もっとよこせと言うだけだ。もう少し分かり易くこういう世の中を作っていきたい、こんな風に国民の生活を向上させ利便を図って行きたい、そうした誰にも分かり易い話をして政権の目指すところを理解してもらわないと支持が得られない。政治家や官僚の間で政策を立案するのも大事だが、それを国民に理解させるのも大事なことである。国民には高邁な理想よりも分かり易い説明やパフォーマンスが大事ではある。ところでデジタル担当大臣、「Cocoa」とか言う新型コロナ接触確認ソフトを「出来が悪い」とか言っていたが、どれほどデジタルに詳しいかは知らないが、あれは良くないね。閣内なんだから、「不具合があったのなら協力して使いやすいソフトに改良していきたい」とか言うべきだろうけどあんな否定的な言い方をすると反発を受けるだろう。そう言うことがまた内閣の足を引っ張る原因になる。政権浮揚のためには一致協力しないとね、協力を、‥(^。^)y-.。o○。

 

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