「本当に自衛隊に入りたいって言っているの。あの小僧は、・・。だったら何とかなるかもしれないわ。事件があったのはもう5、6年前でしょう。公務員の採用規定は刑罰を受けることがなくなって2年以上経過していればいいのよね、規定上の話だけど。あなた、本人にもう一度しっかり確認してくれる、今でも入隊の意思があるかどうかを、いいわね、ちゃんと確認しておいてよ。さあ、この問題はちょっと横に置いておいてこの豪華な料理を楽しみましょうか。こんなもの一生のうちで何度も食べられないわ。」
 

僕たちはクレヨンのおかげでとんでもなく豪華な夕食を食べることができたのでそれを散々楽しむと今度は別の欲望が芽生えてきた。どうしても本格派美人の裸が見たくなってきた。そりゃそうだろう。これだけの美人の裸が大手を振って見られるんだからこの機会を逃す手はないだろう。そこで僕は風呂に行こうとみんなを誘った。知的美人は「あんた、何か企んでいるんじゃないの。普段は烏の行水であまりお風呂なんか入りたがらないくせに」とか言う。
 

『おお、烏が行水するのかい。見てみたいもんだ』
そんなことは以前にも言ったような気がしたが、確かに何か企んでいることは間違いなかった。本格派美人に「行かない」と言うと「じゃあ、‥」と立ち上がった。まあお前だけ一緒に来ればあとはどうでもいい。そうしたらクレヨンが「私も行こうかな」と立ち上がった。それにつられたのか黙って見ていた女土方も「企みがあるならそれを確かめようかしら」と立ち上がってにっこり笑った。女土方のこの笑顔はちょっと怖い。最後に知的美人が「じゃあ私もこの男女の悪だくみを暴いてやろうっと、・・」とか言って立ち上がった。結局全員で大浴場に行くことになった。女土方やほかの二人の裸はもう見慣れているが、ここは本格派美人の裸に注目ではある。できるだけそばに寄っていると「あんた、彼女を狙っているの」と知的美人にすっぱ抜かれた。狙っているとは言ってもここではどうしようもない。ただ興味があるだけだが、本格派美人は当然かもしれないが恥じらう様子もなくさっさと浴衣を脱いで風呂へと歩き出した。僕もさっさと脱いで後を追った。ここにきている女は僕を除いて皆美人だが、この女は群を抜いている。顔と同じように体もため息が出るほどきれいだった。

 

『あの小僧、こんな女を自由にしやがって、・・』」
僕は男の嫉妬に苛まれたが、まあそんなことをうらやんでも仕方がない。僕にも美人は3人もついているんだから。そうして風呂で十分に堪能してから部屋に戻った。そこでもう一度あの小僧の意思をしっかり確認して連絡するよう念を押しておいた。翌日は朝食を食べてもう一度風呂に入ろうと言う知的美人の提案を却下して帰路に就いた。知的美人は、「昨日はあんなにお風呂に入りたがっていたのに勝手な人ね。」とかぶつぶつ言っていたが、それは黙殺して車の運転に専念した。途中の駅で本格派美人を下ろすとそのまままっすぐに東京に向かった。

 

「ねえ、どうするつもりなの。彼女の彼氏のことを、・・」
クレヨンがそんなことを聞いてきた。
「自衛隊に入るんでしょう。だったら彼女のお父さんを使えばいいんじゃない。こっちも面倒を見てやっているんだから一つくらい頼んでもいいでしょう、ねえ、・・」
僕はそう言うとミラーで知的美人を振り返った。
「まあどうなのかしらね。結果はともかく言ってみるのは別にいいんじゃないの」
知的美人はそっけなくそう答えた。
「結果はともかくその手の人からの話なら門前払いはしないでしょう。自衛隊も人手不足なんで話を通せば可能性はあるかもしれない」
僕は腹の中で考えていることを口にした。

 

自宅、と言っても金融王の家だが、旅の片づけをしてからくつろいでいるとクレヨンと女土方が入って来た。
「彼女から連絡があってもしも可能であればお願いしたいってそう言ってきた。聞いてあげてくれる。」
クレヨンがそう言うので僕は電話で公設秘書に連絡を取り、事情を話して取り次いでくれないかと頼んでみた。向こうもさすがに無下にはできないのだろう、「先生に話を通してから連絡します」と言って電話を切った。その後しばらくしてから公設秘書から電話があり、日時と訪問先の相手を伝えてきた。それをクレヨンから向こうに伝えて落ち合う時間と場所を決めさせた。一人で行こうかと思ったが。元々クレヨンの知り合いなので一緒に連れて行くことにした。

 

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