航空自衛隊三沢基地(青森県)の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが9日に青森県沖に墜落した事故から1週間が経過。

パイロットは発見されず、機体も尾翼の一部しか回収されていない。岩屋毅防衛相は16日の記者会見で、「集中的に捜索・救助活動を行っている」と述べた。防衛省によると、これまでのところ、高度や速度、機首方位などを記録したフライトデータレコーダー(FDR)に付いているとみられるビーコンからの信号もキャッチされていないという。厳しい状況が続いている。

◇海自装備をフル投入

 
海自は現場海域に護衛艦「いかづち」や潜水艦救難艦「ちよだ」を投入し、ヘリコプターSH60Kが海面など捜索。護衛艦のソナーを使って海域で信号が出ていないか調べている。「ちよだ」が装備しているマルチビーム測深儀を使って、海底に音波を発信し、機体が沈んでいないか確認作業を進めるとともに海岸の漂着物も調べている。海自トップの山村浩海上幕僚長は16日の記者会見で、「艦艇、航空機を派遣し全力を挙げて捜索している」と話した。

防衛省は「レーダー消失地点が墜落地点と言える分けではない」としており、墜落した正確な場所の特定にも至っていない。手がかかりはF35のロケータービーコンだ。

◇米海軍、高知沖深海3000メートルで探知も

 
F35がどのような性能のFDRを装備し、ビーコンが付いているのか不明だが、一般的には航空機のFDRの場合、水没地点に接近すると、位置を知らせるビーコンからの超音波信号受信が可能になる。ただ、潮流で機体やFDRが遠くに流されたり、激しい衝撃で作動してなかったりする可能性も排除できない。

在日米軍によると、昨年12月6日に在日米軍海兵隊岩国基地(山口県岩国市)所属のFA18戦闘攻撃機とKC130給油機が、高知県沖で接触、墜落した事故では、墜落から約2週間後に水深3000メートルの地点から、KC130のデジタルフライトレコーダーと、FA18に関係するものとみられる信号を探知している。当時、米海軍は最大約6000メートルの深さまで対応できるえい航式の信号探知装置「TPL25」を投入していた。

今年2月20日に山口県沖の日本海上に墜落した空自F2戦闘機の墜落事故では、4月7日にFDRに回収されたが、機体は水深約100メートルと浅いところにあった。政府関係者によると、ビーコンは作動していなかったという。墜落から1カ月半経過し、電池切れとみられる。

◇特別防衛機密に該当

 
F35は機体のステルス性だけでなく、空対空ミサイルなどを装備するために必要なブロック3Fという最新のミッション・システム(ソフトウエア)もインストールされている。こうした情報は、「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」に基づき、特別防衛機密に該当する。中国やロシアに機体が渡れば米国の安全を脅かすことにもなる。日本側の捜索で機体の場所を特定できない場合、米海軍に専門家とTPL25の派遣を要請する可能性もある(時事通信社編集委員 不動尚史)。 


後楽園ドームの中に落ちた1粒の米粒を探し出すようなものと言うが、電波とかを発信してもっと早く見つかるのかと思った。もっとも見つかっていても発表すると中露などがその場所に集中するので回収準備が整うまで公表を控えているということもあり得るが、・・。まことにお気の毒だが、搭乗員は機体の中だろう。脱出する間もないほど急に墜落したのか、それとも何とか持ち帰ろうとしているうちにどうにもならなくなって落ちたのか。何かが起こった場合、搭乗員はできる限り脱出して生還した方が事故原因の解明に資するのだが、・・。また、機体は新たに買うこともできるが、人の命はどうにも贖えないからなあ。

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