広い飛行甲板を備える海上自衛隊最大のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」(全長248メートル、1万9950トン)が13日、横須賀基地(神奈川県)で報道陣に公開された。

昨年閣議決定された新防衛大綱で事実上、最新鋭ステルス戦闘機F35Bを艦載機として運用できるよう改修し、「空母化」することが決定。洋上の航空戦力の基地であるとともに、有事や大災害時の司令部機能や、高い対潜水艦戦の能力も備える。

◇F35B収まる大型エレベーター

この日は将来、F35Bが収容される格納庫も公開された。現在搭載しているヘリの出し入れは飛行甲板と格納庫を結ぶ大型の第1エレベーターを使用。20メートル×13メートルで荷重は最大30トン。F35Bは全長15.6メートル、幅10.7メートル、最大離陸重量27.2トンなのでサイズ上は収まる。格納庫で報道陣を乗せたエレベーターは15秒ほどで飛行甲板に到達した。
 
F35Bを艦上で運用するためには着陸時のエンジンの噴射熱に甲板が耐えられるよう耐熱コーティングを施す必要があるほか、対地攻撃ミサイルなどの弾薬庫の拡充など格納庫を改修する必要性も想定される。
 
飛行甲板前方には機関砲があり、F35Bの離陸時には支障を来たすため、移設するとみられる。いずも型の空母化改修は定期点検を利用して行われ、開始は2020年春以降になる見込みだ。 
 
◇発着艦判断は「エアボス」
 
この日は、航空管制室も公開された。多数のヘリを運用するいずも型や、ひゅうが型護衛艦にだけある区画で、特徴的なのは「Air Boss(エアボス 飛行長)」の存在。レーダーで自艦の近くまでヘリを誘導する航空管制官とは別に、最終的に発着艦のゴーサインを出すパイロット出身のエアボス=2等海佐=と、補佐する「LSO」と呼ばれる発着艦管制官=3佐・1尉=がいる。
 
いずもの幹部は「揺れ具合など艦の状況を踏まえ、最終的にヘリを発着艦する判断は艦長からエアボスに委ねられている」「ヘリを運用中は艦長から『今、かじを切っても大丈夫か』と問われることもある」と説明。F35Bが航空自衛隊に導入され、艦載機として運用する場合、管制やエアボスの任務を空自か海自かどちらが担うのかも検討課題となっている。
 
◇大規模災害時は「病院船」に
 
艦内には医務区画があり、災害時に負傷者を収容して手当する機能も持つ。手術室や集中治療室を含めベッド数は34床。歯科治療室もある。普段、医師(医官)はいないが、長期航海などの際には臨時で乗艦する。海自幹部は「大規模災害時など負傷者が大量にいる場合には、格納庫で治療の優先順位を決めるトリアージなどを実施する可能性もある」と話す。
 
過去の災害救護訓練では、災害派遣医療チーム(DMAT)が医務区画で処置をしたり、いずもの格納庫内に医療調整所が設置されたりした。いずもは乗員470人(うち女性40人)に加えて500人まで乗艦させることが可能だ。2016年の熊本地震では、北海道・小樽から博多港(福岡県)まで、救援の陸自部隊と車両を運んだ。
 
◇サミットでテロ警戒
 
飛行甲板の下には、戦闘指揮所とは別に「FIC」と呼ばれる司令部作戦室がある。いずもを傘下に置く第1護衛隊群の司令らが詰め、護衛艦隊を指揮統制する。作戦情報などの機密を扱うためアクセスは乗組員でも制限されているという。いずもは、2016年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では、洋上の警戒監視活動の司令塔を務めた。
 
◇建造費、護衛艦2隻分
 
いずもは艦首にソナーを備え、潜水艦の探知、追尾を搭載の哨戒ヘリで切れ目なく行えるのが強みだ。建造費は1200億円で、護衛艦2隻分に相当。現在いずも型護衛艦はもう1隻、「かが」が呉基地(広島県呉市)に配備されている。いずも型は、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊の車両は収容できるが、陸上自衛隊の戦車は積めないという。
 
防衛省幹部は「いずも型護衛艦は非常に有用だが、建造費の確保に加えて海自隊員の不足もあり、いずも型のような大型艦を建造することは難しくなってきている」と話している。(時事通信社編集委員 不動尚史)。 


DDHの後継艦を作ると言って中央に巨大な艦橋があり飛行甲板を前後に分離した奇想天外な想像図を発表してからあっという間に軽空母4隻を建造した海上自衛隊だが、この先、大型艦の建造で最もネックになるのは人員だろう。近い将来海自が空母を保有するというが、その空母に乗せる人員のをどうするのかを考えるとなかなか難しいものがある。いずれはいずも型の後継が取り沙汰されるんだろうけど満載排水量で3万トンが一つの目安だろうか、・・(^。^)y-.。o○。

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