「余命10年」と言う本を読んでみた。何となく題に魅かれて買ってみたが、以前なら絶対に読まなかった類の本ではある。話は20歳の女性が難病にかかって医者から余命は10年と宣告されてしまうが、その女性が残された時間を淡々と生きようと決心して死の恐怖と戦いながら生きていく話である。読んでみて名作でもなければ力作でもないが、何だか妙にリアリティがあるなと思ったら、作者自身が同じ病気で亡くなっていたらしい。その病気と言うのは
「特発性肺動脈性肺高血圧」で、以前は診断されてからの余命はせいぜい3年弱と言われていました。発症率は100万人に2人程度(潜在的患者数はこれよりかなり多いだろう、と推測されます)と考えられます。以前は根治治療といえば肺移植しかありませんでしたが、ここ数年で新薬の開発が驚異的に進み、内科治療による延命の可能性が出てきました。肺高血圧症は、心臓から肺に血液を送る血管(肺動脈)の末梢の小動脈の内腔がせまくなって血液が通りにくくなり、肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなる病気です。心臓の中でも肺動脈に血液を送る部屋を右心室といいますが、この右心室は高い圧力に耐えられるようにできていないため、肺動脈圧の高い状態が続くと機能が低下してしまいます(右心不全)。肺高血圧症に特有の症状はありませんが、初期には軽い動作(階段をのぼったり、坂をのぼる)をしただけで息切れをしたり、疲れやすくなったりします。また、病気が進行して右心室の機能に障害が起きてくると、呼吸困難やたちくらみなど、症状も重くなってきます。」
、・・なんだだそうだ。
そんな病気で死の恐怖と戦いながらなんとか自分の生き方を生きようとする主人公はもしかしたら作者自身でまたこの作品自体が作者の遺書なのかもしれない。主人公の女性はお茶の家元の息子と恋に落ちるが、自分の人生に先がなく相手に負担をかけると思い、別れてしまう。そしてそのまま病気が悪化して亡くなってしまうが、この辺は肉親や近親者の死を何度も看取ってきたことなどを思い出して何となく切ない気持ちになるが、全く救いのない終わり方ではないのがせめてもの救いかもしれない。まあ人間誰でも生まれた時から余命何年は決まっているのだが、「生きていれば何とかなる」というのは作者の心の叫びなのかもしれない。
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