「夫の墓には入りません」と言う小説を読んでみた。以前はこんな話は絶対に読まなかったのだが、最近は結構読んでいる。表題を見て「面白そうだ」と思ったのはとりあえず買っておく。文庫なんで大した額でもないし。
で、話は40代で夫が急死して未亡人になり、夫の実家のある地方都市に一人取り残された女性が地方の因習に振り回され、夫の実家に取り込まれそうになるのを逃れようともがく姿をコミカルに描いているので現実的には結構重いテーマなんだろうけどあまり重苦しい感じはしない。
家庭は子供はできず、夫は仕事一筋で妻は放りっぱなし、死んでみると高校時代の同級生の女性と関係があり送金までしていたとか、実家は舅が認知症、姑は勝手に家に上がり込んでは好き勝手やり放題で主人公を悩ませる。しかも引きこもりの小姑までついていて姑は何とか主人公を自分の側に取り込もうとあれこれ手を打って来る。
街に出れば他人の目があって小さいことまであれこれ言われるし、家に帰れば姑が勝手に上がり込んで気が休まるときもない。世界を回って演奏をして暮らす野性味溢れる男に言い寄られて旦那にはなかったものを感じて身を任せれば金目当ての後家狙い、実家に帰っても離婚した妹ばかりが優遇されて居場所がない。遂には実父の手助けを受けて嫁ぎ先と縁を切ろうと「姻族関係終了届」なるもの、こんな届けがあるのは最近知った、を振りかざして嫁ぎ先に乗り込むが、・・。
世の中には様々なしきたりや風習があってそういうものを守らずに生きようとするとあちこちからしっぺ返しを受ける。自分自身もそうした世の中の枠組みを蹴飛ばして自分の思うように生きてきたので集中砲火、十字砲火を食らったことが何度もあったが、・・。
そういえばこの作者、「老後の資金が足りません」とかいう話も書いていた。これも結構重い話をコミカルな調子で書き上げて最後は大団円ではないが、何となくホッとできるような小団円くらいで締めくくっていた。「夫の墓には入りません」も最後はそんな感じの小団円で締めくくっているのは作者が女性だからだろうか。
今時、嫁だの舅だの姑だの家だのとそんなややこしい関係があるのかと思うが、田舎への転入者に対する村八分などの記事を見ると日本もまだまだ古い因習に縛られた世界が多いんだなあと思う。自分自身はそうしたものを蹴壊し続けて生きてきたので最近では誰も何も言わなくなってしまった。この話の主人公も嫁ではなく女としての生き方を選択したようだが、残りの人生を自由にのびのびと生きていけるよう祈りたい、・・(^。^)y-.。o○。
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