陸上自衛隊のAH64D戦闘ヘリコプターが2月5日、佐賀県神埼市で墜落し、自衛官2人が死亡した事故。民家へ直撃したことから、不安が高まっている。今回の事故では、AH64Dが離陸直後に管制官と交信をし、その5分後に墜落。交信で異常があるとは伝えてなかったという。

陸自で第4対戦車ヘリコプター隊長を務めた経験のある軍民ヘリコプター評論家の奥出阜義(あつよし)さんは、原因についてこう推察する。「墜落の映像を見ると、メインローター(主回転翼)が吹っ飛んだ可能性が高い。ヘリが飛ぶ仕組みは、竹とんぼのようなもの。羽根が一つでも落ちれば下に落ちます。メインローターが吹っ飛んでしまうと、パイロットはどうしようもない」

主回転翼は、回転軸や羽根、羽根を軸に固定するメインローターヘッドなど複数の部品で構成。整備や部品に問題はなかったのか。

「当然ダブルチェック、トリプルチェックをしたとは思う。しかし、ヘリの整備は、100点満点中99点でもダメ。常に100点が求められる。99点の整備であれば、パイロットにとっては0点になりかねない」(奥出氏)
報道によると、墜落したヘリは、吹っ飛んだとみられる主回転翼の羽根の根元部分に、メインローターヘッドの一部が残っており、この部品が破損した可能性が指摘されている。部品は交換したばかりだった。
「新しい部品には未知数の部分がある。材質的に壊れやすいのかどうかなど、その部品に対する経験値がないから、使用にはリスクがともなう」(同)
奥出氏によると、そもそもヘリは固定翼航空機と比べ、数倍の部品の点数や種類があり、複雑な動きをする乗り物だという。そう考えると、頭上を飛ぶヘリへの印象も変わってくる。

この半年を振り返れば、自衛隊や米軍のヘリの事故が頻発している。2017年12月には、沖縄県の普天間第二小学校の運動場に、上空を飛ぶ米軍ヘリから窓が落下。17年10月には沖縄県東村高江で米軍の大型ヘリが不時着し、炎上した。同じく10月に、静岡県浜松沖で航空自衛隊の救難ヘリが墜落して自衛官3人が死亡。民間ヘリも含めれば、17年11月、群馬県上野村で墜落して4人が死亡した。

「われわれの世界では『飛行機事故は連鎖する』といわれています。ジンクスのようなものだが、実態としてそういう傾向があるのも事実なんですよ」(同)

ヘリには「神の乗り物」というニックネームがついているとか。近いうちにまた事故が起こるかは、神のみぞ知る、ことのようだ。(本誌・大塚淳史)
残念なことだが事故はまた起こるだろう。自衛隊や米軍のヘリだけではなく民間のヘリも事故を起こしている。事故が起こらないなどあり得ない。それはヘリだけではなくあらゆる機械に言えることだ。事故が起きたら原因を特定して事故の芽を摘み取っていくこと、それしかない。事故を無くすことはできないが、減らすことは可能だろう。それが亡くなった方への供養でもある。
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