海上自衛隊創設以来、空母保有は海上自衛隊の悲願だった。創設期に米国から護送空母の譲渡を受ける案やその後も対潜ヘリ空母、大型ヘリ巡洋艦建造、シーレーン防衛用の制海艦構想など空母保有に向けた様々な計画が浮かんでは消えていった。
そして遂にはるな型ヘリ搭載護衛艦、その改良型のしらね型で3機のヘリを搭載する護衛艦の建造が実現した。しかし満載排水量7000トンほどで船体の後ろ半分に格納庫とヘリの発着甲板を設ける構造ではとても空母とは言えないものだったが、それでも艦艇に複数の航空機を搭載運用するという作戦形態に先鞭をつけた意義は大きかった。
海自はこれらの艦が代替時期に来ると海自は秘かに空母の保有を企んだ。しかし、いきなり空母では世間の反発が大きいだろうから、まずは輸送艦で艦橋を右に寄せた全通甲板を持つ空母に似た構造のものを作って世間の反応を測った。マスコミなどはこの船を空母と騒ぎ立てたが、現実に空母としての構造も機能も持っておらず、騒ぎはすぐに鎮静化した。
次にはるな型の代替艦では中央に艦橋と格納庫を置いて飛行甲板を前後に分けた珍妙な船を案として出して世間をけむに巻きながら全長200メーター、満載排水量19500トンのひゅうが型を世に出したが、ここでもまだ空母とは呼べないように後甲板にMk.41VLSを設置したりして偽装した。
また甲板はジェット機の発着艦は想定しておらず、甲板は強度などでジェット機の発着艦には耐えられないなどと言い、あくまでもヘリ搭載護衛艦と言い張った。しかし、世界的に見れば軽空母として立派に通用するこれだけの艦を建造しておいてジェット機の発着艦は考慮していないなどとそんな能天気が軍隊はあり得ない。事実、オスプレイは難なく発着艦して何の問題もなく格納庫にも収容されている。
ここまで世論の大きな反発は特にない。そして本命は次のいずも型だった。全長248メーターの全通甲板を持ち満載排水量27000トンは太平洋戦争中の日本海軍の正規空母瑞鶴、翔鶴を凌ぐ規模ではある。もちろん時代が違うし、運用する航空機も当時とは全く違う。
また米国の正規空母には比べるべくもないが、航空機の搭載能力は満載排水量1000トンにつき1機と言うので戦闘機12機程度を運用するとその他に対潜救難用ヘリ6~8機、そして早期警戒用のオスプレイまたはヘリなどを4機程度は運用できるだろう。
この船について甲板の強度が足りないとかスキージャンプ台を設置したらひっくり返るとかジェット排気に耐えられないとか、艦首に機関砲が設置してあるので航空機の発着はできないとかいろいろ言うが、満載排水量が3万トンに近い建造費1200億の船を造るのにそのくらいのことは考えて作っているだろう。
特にスキージャンプ台を設置しなくてもF35Bなら150メーターくらいの滑走路が確保できれば運用できるというのだから全く問題はないし、着艦も垂直に着陸するならより大型のオスプレイが降りられるのだから問題はないだろう。もしかしたら岩国に配備されたF35Bを使って外洋で秘かに発着艦試験をしているかもしれない。
こうして海上自衛隊は創設以来の念願だった空母を手に入れるまであと1歩のところまで来ている。空母機動部隊を創設して太平洋の覇権を米国と争った旧海軍出身者が海自を去ってからは空母保有にさほどの関心を示さなくなったと言われたが、それも手の内だったんだろうか。中国の海洋進出や尖閣諸島防衛、北のミサイル危機など海自にとって追い風は十分ではある。
最後の問題は航空機の所管だが、これまで固定翼の戦闘機を保有しない海自にはいきなり戦闘機隊を保有して運用するのは難しいだろう。そうすると必要に応じて空自の戦闘機隊と整備部隊を載せて作戦を行うという伝統墨守、唯我独尊の海自と勇猛果敢、支離滅裂の空自の折衷運用という中途半端な形にならざるを得ないが、海自にしてみれば固定翼の作戦用航空機を艦船に乗せるという事実を作るだけで十分なのかもしれない。
そしてひゅうが、いずも型の次は5、6万トンクラスの本格的空母の建造をと秘かに青写真を描いているのかもしれない。海上自衛隊創設以来64年、悲願だった空母保有は目の前まで来ている、・・(^。^)y-.。o○。
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