1機230億円、どう使う?
1機230億円前後のC2をどう使うかはとても大切です。お値段だけではありません。自衛隊の輸送機の中で、最も重いものを最も遠くまで、しかも艦船よりずっと速く運べるC2の運用は、自衛隊を重要な局面でどう動かすかと表裏一体だからです。C1や、C1より航続距離は長くても速度は遅い輸送機C130が担ってきた活動をC2がより大規模にできることはもちろんです。国連平和維持活動(PKO)などでの陸上自衛隊の海外派遣、在外邦人の退避、そして東日本大震災や熊本地震でもみられた、大規模災害時の輸送です。東日本大震災の時、私は沖縄勤務でしたが、遠い沖縄本島からも陸上自衛隊の車両約40台が被災地に向けどんどん運ばれました。その輸送は当時の自衛隊の能力では難しく、豪軍から派遣された大型輸送機C17が使われました。ただ、日本政府がC2の使い道として強調するのは、同じ沖縄がらみでも逆方向の活動です。昨年の防衛白書には「主として島嶼部に対する攻撃のために導入を進めてきた」とあります。陸海空の自衛隊が連携する南西諸島防衛に生かそうという発想です。C2導入で自衛隊の輸送機に積めるようになった装備として防衛白書は地対空誘導弾PAC3や水陸両用車を挙げます。ただ、それらの空輸にC2を使う意味がどこまであるかは要検討です。PAC3は、2016年には迎撃に備え石垣島や宮古島へ海上自衛隊の艦船で運ばれましたが、それは北朝鮮が弾道ミサイルを南へ撃つと予告していたからです。最近はミサイルを移動車両で運んできていきなり撃つので、C2で空輸してもPAC3配備は間に合いません。水陸両用車の方は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権を主張する中国を念頭に、離島奪還作戦での活用を想定。そこにはパラシュート部隊も加わります。丸茂吉成・航空幕僚長は1月26日の記者会見で「C2が完全な運用状態になれば、物資投下や空挺降下といった陸自への支援も含め、統合機動防衛力の向上が図れる」とし、そのための訓練を今年中に終えると述べました。「物資投下や空挺降下」とは、陸や海からでは接近が難しい場所で作戦を展開するため、パラシュートをつけた陸自の空挺隊員やその活動を支える物資を輸送機から落とすことです。C1やC130でもこうした訓練をしていますが、いかに多く落とすかがものを言うので、C2に期待がかかるわけです。
南西諸島防衛の現実味
この南西諸島防衛でいつも問われるのが、離島奪還作戦の現実味です。中国軍が日本の離島を占領できるほど周辺の海と空で優勢になってしまったら、その島にどう近づくのか。自衛隊は遠くから中国軍を牽制するためとして新たに長距離の巡航ミサイルを持とうとしていますが、中国軍もすでに持っており、にらみ合いにはなっても日本の優勢は保障されません。
自衛隊がこれからも、多くの島々からなる領土を守り、台風や地震など頻発する自然災害に対処し、海外でのPKOや災害支援にも出ていくのなら、C2の高い輸送能力は日本の財産といえます。島嶼防衛に使うとしても後方での空輸ならわかりますが、援護の難しい最前線に人員や物資を積んだ大型輸送機を送るのはリスクが高すぎます。
C2は何のため、何を乗せて飛ぶのか。広く深い議論が必要だと思います。
現代の戦争は大量の物資を消耗する。武器、弾薬はもちろん、食料、医療品、衣料品、その他の物資を適時適切な方法で部隊に届けないと戦力として機能しない。太平洋戦争の日本軍はそれができずに悲惨な敗北を喫した。そうした兵站輸送の一端を担うのが、この輸送機だろう。もちろん災害派遣などでも威力を発揮するだろうが、それは副次的なものであって武装集団である自衛隊の本務は戦闘にある。ただ、こんな輸送機で前線に物資を運ぶなど絶対制空権でも確保していないと難しいのは当たり前の話、「C2は何のため、何を乗せて飛ぶのか。広く深い議論が必要だと思います。」などと素人が口をはさんで前作のC1は足が短くどうにも使い物にならない輸送機になってしまった。軍隊は装備する輸送機は戦うための人員、物資を輸送するもの、しかしながらそう言うことが起こらないことを祈りたい、・・(^。^)y-.。o○。






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