佐賀県神埼市千代田町に墜落した陸上自衛隊のAH64D戦闘ヘリ。防衛省によると、異常を感知して着陸を試みたが、機首から住宅街に落下したという。高性能でありながら、通常のヘリよりも高度な操縦技術を要しないとされる機種。同型機は飛行停止となったが、軍事専門家は「なぜ住宅街に落ちたのか」と首をかしげた。

 
軍事アナリストで帝京大の志方俊之名誉教授(安全保障)によると、AH64D戦闘ヘリは、ミサイルの射程が従来のヘリの2~3倍はあり、命中精度もよい。価格は通常の戦闘ヘリの数倍といい、国内でも希少な機種という。ただ、通常のヘリに比べて特段の操縦技術が必要なわけではないといい、「事故があったのは点検飛行で、熟練したパイロットが操縦するケースが多く、運転ミスがあったとは考えにくい」と指摘する。志方名誉教授は「最近米軍ヘリが墜落する事故が相次ぎ、米国に対して安全策を求めていただけに、こちらの安全策もどうなのかということが言われかねない。早急な原因解明が必要だ」と話す。

 
専門誌「軍事研究」編集部の大久保義信さんも、AH64D戦闘ヘリを、「世界最強レベルの攻撃ヘリコプター」と説明。「戦車や装甲車を撃破できる破壊力を持つ一方、機械としての練度も安定しているため、機械に不具合が出てきたとは考えにくい」とみている。

 
さらに、ヘリが民家に墜落したことについて「自衛隊なら墜落することになったとしても、身をていしてでも住宅街から外れようとするはず。どういう状況だったか詳しく調べる必要がある」と話している。

 
目撃情報を基に整備ミスの可能性を指摘するのは、元航空自衛隊航空事故調査部長の永冨信吉さんだ。「整備直後の点検飛行中という状況を考えると、整備ミスがあった可能性は否定できない。近隣住民からは『機首を下げながら落下した』などの証言があった。急激に墜落したとみられ、エンジンかローターに何らかの異常が起き、推力を失ったのではないか」

 
航空評論家の青木謙知さんも「事故機と同じヘリは米軍や韓国軍でも使われているが、似たような事故は聞いたことがない。『ローター部分が外れて落ちた』との目撃情報があるなら操縦ミスではなく、機体整備の問題ではないか」と推測する。


動画を見ると普通に飛行していたヘリがいきなりほとんど垂直に降下し、同時にローターか何かが機体から外れて飛んでいるように見える。降下が始まった時点で機体はほとんど制御不能になっていただろう。搭乗員自身も何が起こったのか分からないうちに墜落したのだろう。非常にタフな機体で被弾してもそうそう壊れないというが、今回の事故では搭乗員お方にはまことにお気の毒であった。

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