最近、長距離ミサイルの装備、空母の保有などで専守防衛に関する議論が喧しい。昭和40年代に攻撃機は保有できないとか足の長い輸送機は近隣諸国に脅威を与えるのでダメとか訳の分からない議論が盛んに行われ、F4の爆撃管制装置を外したりC1の航続距離を著しく縮めたりした。
空母も米国が戦後新規建造した空母の他に戦争中に建造した空母を対潜空母などの呼称で使用したため新鋭空母は戦闘機や攻撃機を搭載していたため攻撃型空母等と呼ばれた。
今では戦闘機自体が多目的化されて戦闘機と攻撃機の区別もなくなっている。F2なども多目的戦闘機で強力な攻撃力を有している。長距離ミサイルも最近は長射程化が著しい対空ミサイルをアウトレンジして敵を攻撃して貴重な戦闘機と育成に長い時間と莫大な費用を要し、おいそれとは補充が利かないパイロットの喪失を防ぐために必要欠くべからざるものとなっている。
科学技術の進歩やそれに伴う戦術の変化で日本を攻撃する方法も爆撃機が飛んできて爆弾を落とす代わりに巡航ミサイルや弾道弾などが取って変わった。また本土から遠く離れた離島などを防衛するためにエアカバーが必要になった場合、戦闘機を運用可能な空母があった方が有利だろう。
また少しばかり防衛費を増やして自衛隊に新たな任務を付与すると徴兵制などと騒ぎ出すが、今の軍隊は高度にハイテク化された兵器を扱うので単に頭数を揃えて鉄砲を持たせても何の役にも立たない。
「専守防衛」と言うと戦闘機に爆弾がたくさん積めるとか航続距離が長いとかそんな議論ばかり行われるが、そうした言葉遊びのような幼稚な議論ではなく日本にとって脅威とは何か、そしてその脅威にどう対処するのか。そのためには何が必要なのか、 そういうことをしっかり議論すべきだろう。
現在、この世の中に攻撃型空母なるものも攻撃機も存在しない。空自のC2輸送機は同クラスの輸送機の中でも最も長い航続距離を誇る。F2戦闘機は大平洋戦争中のB29に匹敵する爆弾を積むことができる。脅威は時代や科学技術の進歩で変化する。そんな状況の中で「専守防衛」だけが不変と言うのは理不尽には違いない。
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