政府が巡航ミサイルの初導入を決めたのは、中国の海洋進出をにらんだ「島嶼(とうしょ)防衛」が主目的だが、北朝鮮の弾道ミサイル基地などをたたく「敵基地攻撃能力」の保有を視野に入れた動きでもある。これらのミサイルの数百キロ以上という射程は、自衛隊の現有装備品にない長さで、日本の防衛政策上も一つの画期となりそうだ。

 「現在、自衛隊は敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、現時点で保有する計画もない」

 小野寺五典防衛相は5日の記者会見で、新ミサイルの導入をめぐって従来の政府見解を繰り返した。

 ただ、政府関係者は「対外的な理由もあり、敵基地攻撃ではなく島嶼防衛だと説明しているが、その理屈と兵器としての機能は関係ない」と語る。新たなミサイルは敵基地攻撃にも利用可能であり、島嶼防衛という説明は「方便」の側面があるというわけだ。

 ◆対中・対北抑止に

 政府はこれまで、中国や韓国など周辺国に脅威を与えないという配慮から、長射程ミサイルや、航続距離の長い航空機の保有を自ら縛ってきた。与党関係者は「昔は航続距離を縮めるため、戦闘機からわざわざ空中給油機能を外して導入したこともあった。もうそんなバカなことをする時代ではない」と語る。

 JSMなどの導入は転換点となり、中国や北朝鮮に対する抑止力向上に大きな意味を持ちそうだ。

 対地攻撃では、空自の戦闘機が運用している衛星誘導爆弾(JDAM)などは標的に相当、接近する必要があるが、JSMなど新たなミサイルであれば、相手の反撃を受けない距離から攻撃できる。

 艦艇に対しても有効だ。現在、空自の戦闘機が運用している93式空対艦誘導弾(ASM)の射程は約170キロだが、JSMなら約3倍に伸びることになる。防衛省幹部は「長射程化とステルス化は、あらゆる『飛び物』のトレンドだ」と語る。

 ◆「矛と盾」変化も

 政府は同じく島嶼防衛用と銘打ち、地対地の「高速滑空弾」や新型の対艦ミサイルの研究開発に着手する方針も決めており、来年度予算に関連予算を計上する。これらの研究成果も、敵基地攻撃に活用できるとの指摘がある。

 ただ、JSMなどを導入しただけで、直ちに北朝鮮のミサイル基地を攻撃できるわけではないのも事実だ。ミサイル誘導には目標の正確な位置を把握しなければならず、衛星や無人機の情報が欠かせない。防空網をかいくぐるための電子戦機なども必要になる。自衛隊が保有しない多くの装備品をあわせた「体系」こそが、敵基地攻撃能力だからだ。

 小野寺氏は、記者会見で「敵基地攻撃能力は米国に依存している。今後も基本的な役割分担を変更することは考えていない」とも語り、打撃力を米軍に任せ、自衛隊は守りに徹する専守防衛を維持する考えを示した。だが、新規ミサイルの導入が「矛と盾」構造に変化をもたらす可能性もある。(千葉倫之)


明らかに我が国に対する侵攻の意思を示して具体的な行動を取っている相手を叩くのに自国の領土も相手の領土も関係ない。できるだけ遠いところで叩くのが戦術の大原則ではある。弾道弾も飛んでくるのを撃ち落とすよりは発射台に乗っているのを破壊する方がはるかに簡単だろう。それで日米同盟の役割が変わるなどと言うがそんなことはあり得ない。射程1千キロのミサイルを100や200持っても日本が米国のような外征軍に変わるなどと言うことはあり得ない。防衛費を今の5倍くらいにして金をかけても装備、体制を整えるのに20年や30年はかかるだろうし、金をかけても人の手配ができないだろう。ミサイルの射程が何キロとかそんなことばかり強調するが、現有ミサイルの射程も未公表で12式対艦ミサイルも百数十キロ以上とか言うが、実際にどのくらいの射程か分からないし、公表などしたらアウトレンジされるので公表はしないだろう。ミサイルも長距離になればなるほど発射母機の問題、飛行ルートの問題、目標の探知、設定の問題など様々な問題がある。ミサイルだけがあっても何の役にも立たない。ただ北のバカ大将のやり口で顕著だが、そうしたものを保有すると公表すること自体が大きな政治的意味を持つ。軍備と言うのは自国だけで決まるものではなく周辺国の状況で変化する。周辺国がどこもきな臭いところばかりなので海上自衛隊も米国の中古駆逐艦や警備艇をもらって発足したのに60年で実質軽空母4隻を保有する一大海軍に成長した。今後はBMDや長射程ミサイルと言うことになるのだろう。日本もだんだんハリネズミのようになっていくが、英国のように戦略原潜6隻ほどを保有して常時2隻を実戦配備に就ける程度の核戦力を保有するのが経済的にも人員的にもいいのだろうが、英国はいざとなれば断固たる措置を取る国と国際社会も理解しているだろうけど日本の場合はどうだろうねえ。抑止力と言うのはハードだけの問題じゃなくてソフトも重要だからねえ、・・(^。^)y-.。o○。


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