そんな状態で知的美人からいろいろと話を聞いた。アダルト出演はもうずいぶん以前かららしい。何度も話したかもしれないが、アダルトは毛むくじゃらの男のケツが出てくるのがおぞましくてほとんど見たことがない。したがってその業界のこともよくは知らない。
知的美人によるとその世界は単体女優、企画単体、企画女優と3分類に分かれているらしい。単体と言うのはその女優のキャラだけで食っていけるものを言うそうで数えるほどしかいないそうだ。このクラスはプロダクションと専属契約で将来は普通のタレントやモデルとしてデビューすることも多いそうだ。
次が企画単体と言うジャンルでこれはそれなりに食っていける女優の一群を言うらしい。専属契約ではないので売れればいくらでも出演できて稼ぎはいいらしい。
そして企画女優と言うのはその他大勢でいくら脱いでも大した金にもならずの使い捨てと言った類だという。知的美人がどうしてこんな世界に入ったのかを聞いたら、この女、昔から男依存症の傾向があってあっちこっちでつまみ食いをしていたらしい。そんな中にこの業界の人間がいてスカウトされたという。
ただ、食うためではないのでその辺はなかなか鷹揚でまあクラスとしてはその他大勢ではあるが、それなりにファンもいるそうでプロダクションとしてはそれなりに目をかけてくれているそうだ。その辺の経過については、それはそれで分かった。
で、この女、精神的に不安定なところがあるそうだ。普段はあの強気一辺倒で他人を寄せつけないような迫力があるが、定期的に精神的に不安定になるらしい。そんなときに求めるのは自分の世界とは切り離された関係のない世界の使い捨てにできる男でそれで心に空いた空白を満たしていたようだ。今回はその役が僕に回ってきたんだろうか。それは聞かなかったが、・・。
「まあ大体の経過は分かったわ。それでこの先はどうするのよ。人間誰しも年を取って行くんだから何時までもアダルトってわけにもいかないでしょう。まああなたの語学力ならそれなりに英語で飯食っていくには困らないとは思うけど、・・。」
そう言いながらも知的美人はメンタル面でケアが必要なんだろうなと思っていた。
「あ、それからもう一つ聞きたいんだけどあなたメンタル面のケアは受けているの」
僕はそう聞くと知的美人は首を振った。
「ねえ、もうこんなことしているのがバレたんだから、私、首でしょう。私ね、精神的に弱い面があることは自覚していたわ。あなたが言うようにケアが必要なのかもしれない。もともと余計な関係を持つのが嫌いと言うか鬱陶しいと思うところがあって特定の関係を持たずに強気で生きてきたけどどうしてもそれが崩れそうになる時が来るのよ。そういう時に心の隙間を埋めるためにね。良い悪いじゃないの。私には必要なのよ。そういう関係が、・・。あなたってそんな私の触角が反応したんだから女じゃないってそう思ったんだけど、でも、見た限り女ね。で、どうするの。会社に報告するんでしょう、私のことを、・・。」
知的美人は僕に抱かれたままでそう言った。
「そうね、確認するよう指示を受けているからその旨報告するわ。でも、あなたはどうなの。うちの会社でこの先も働く気はあるの。それによっては話の仕方も違ってくるけど、・・。まあ私の判断でどうこうなる話じゃないけど社長や室長にお願いすることはできるわ。あなたがアダルトから足を洗ってこっちに専従してくれるというならそれなり話の持って行き様はあるかもしれない。あなたの語学力ってなかなかだしうちも一人辞めてしまって手不足なんでね。」
知的美人はしばらく黙っていたが、「あなたがいるなら続けてもいいわ」と言った。それならそれで話のしようもあるというものだ。
「分かったわ。じゃあその方向で話をしてみる。結果は分からないけど頑張ってみるわ。」
僕はそう言うと知的美人を抱いていた手を放して起き上がった。
「帰るの。もう用件は終わったってことね。」
知的美人は横になったままちょっと恨めしそうな眼を僕に向けた。そりゃあそうだろう。この件でどれほど長い間僕の生活が拘束されたと思っているんだ。お前のアダルトが確認できればそれで終わりに決まっているだろう。でも古来、『魚心あれば水心』とも言うからそれはお前次第でもあるんじゃないかなどと心の中で呟いてみた。
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