安倍晋三首相は日本を訪問したメイ英首相を2日間にわたって破格の扱いで待遇し、メイ氏も安倍首相との個人的関係の強化に努めた。かつての同盟国であり、米国とともに同じ価値観を有する日英が北朝鮮のミサイル問題で立場を共有していくほか、安倍首相としては中国に傾斜していたキャメロン前政権の路線の是正を図るメイ氏との信頼を深める狙いがあった。(原川貴郎)
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「安倍政権の積極的平和主義による外交・安全保障政策は、メイ首相が進めている『グローバルな英国』と共鳴する。われわれの安全保障協力は新たな高みに進もうとしている」
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「安倍政権の積極的平和主義による外交・安全保障政策は、メイ首相が進めている『グローバルな英国』と共鳴する。われわれの安全保障協力は新たな高みに進もうとしている」
31日午後、首相官邸でメイ氏を招いて開いた国家安全保障会議(NSC)の特別会合。安倍首相は「テリーザ」とファーストネームで呼びかけ、日英の安保協力の必要性を訴えた。
メイ氏は「アジアにおいて日本は最大規模のパートナーだ。安全保障で日英間の協力が強化されることを期待する」と応じた。
8月30日には、安倍首相はメイ氏を京都迎賓館に招いて夕食で歓待。東京へ移動する新幹線の車内でも懇談し、個人的な関係強化に努めた。
英紙「ガーディアン」(電子版)によると、30日に両首脳が取り上げたのは主に北朝鮮への対応で、メイ氏は「英国は日本と協力する」と明言した。ロイター通信は、メイ氏が訪日の途上で記者団に「最善の方法は、中国が北朝鮮に圧力をかけることだ」と語ったと報じた。
日英首脳会談は、首相官邸ではなく東京・元赤坂の迎賓館で行われた。両首脳は北朝鮮抑止には中国の行動が重要との認識で一致したほか、東・南シナ海やインド洋情勢では、国際法に基づく秩序維持のための連携を確認し、海洋進出を強める中国を牽制(けんせい)した。共同宣言には、今後、英国がアジア太平洋地域に空母を展開する可能性を明記した。
アジアでの日本の役割を重視するメイ氏の姿勢を、日本政府は「歓迎すべき変化」(外務省幹部)としている。安倍首相とメイ氏の関係構築は新たな外交基軸の兆しを見せつつある。
近代以降、日本は英国と良好な関係を保っていた期間は国内も安定して発達している。逆に英国との関係が悪化すると悪い方向に向く。太平洋戦争開戦前も中国に足場を持たない米国は日本に対して厳しい対応だったが、日本と同様に中国に大きな利権を持っていた英国は日本に同情的だったという。「鬼畜米英」などと言わずに英国を介して対米、対中関係の改善を図るやり方もあったと思う。当時とは英国の国際的な立場も大きく変わっているが、英国と日本は島国で国情もよく似ている。時代も変わって両国の国際的な地位や立場も変化してはいるが、両国が良好な関係を維持することは決してマイナスではないと思う。
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