北朝鮮の弾道ミサイル発射予告で緊迫する朝鮮半島情勢を受け、日米は17日の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、日本の役割拡大を確認した。政府は、国内の防衛態勢強化など具体策の検討に乗り出すが、現状ではミサイルの完全な迎撃は技術的に困難で、防衛費の膨張には慎重な世論も根強い。日本の対応には限界ものぞく。

 
◇成果強調
 
「大変良い話し合いができた。すばらしい成果を導いてくれたマティス国防長官、ティラーソン国務長官に感謝したい」。小野寺五典防衛相は17日の協議終了後の共同記者会見でこう語り、今回の訪問への手応えを示してみせた。

 
現在、日本を標的とする弾道ミサイルへの防衛(BMD)は、(1)イージス艦搭載ミサイル「SM3」が大気圏外で迎撃(2)外した場合、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が撃ち落とす-の2段構えだ。米領グアム周辺に向けたミサイル発射が失敗するなどして日本に落下してきた場合も即応する。

 
ただ、海上自衛隊が保有するBMD対応のイージス艦は4隻で、1基のPAC3がカバーできる範囲は半径数十キロに限られる。このため、政府にとって新たな装備の導入は喫緊の課題だった。

 
そこで今回、小野寺氏らが米側に伝えたのが、米国が開発した陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入。わずか2基で日本全土をカバーできるとされ、対処力向上が期待される。

 
とはいえ、迎撃能力は100%ではない。北朝鮮は複数のミサイルを同時に撃ち込む「飽和攻撃」に必要な正確性や運用能力を向上させており、日本に200発を同時に撃ち込むことができるとの指摘もある。防衛省幹部は「新装備を導入しても完全に迎撃できるわけではない」と認める。

 
◇巨額の防衛費
 
役割拡大には予算面で不安もある。政府が導入を検討してきた最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」は1基1000億円超で最低でも6基が必要だった。これに対しイージス・アショアは1基800億円、計2基で済む。当面はコストを抑えられる計算だが、米側から防衛装備品の調達で要求が増えれば、防衛費に歯止めがかからなくなる恐れがある。

 
ミサイル攻撃を未然に防ぐため、政府が発射前に相手の基地を攻撃する「敵基地攻撃能力の保有」を目指せば、さらに巨額の費用が必要となる。今のところ具体的な検討は進んでいないが、防衛相経験者によると、弾道・巡航ミサイルや精密誘導爆弾を搭載した戦闘機などを備えることになる。与党内には慎重論が根強い。

 
◇トランプ氏の意向
 
そもそも、日本が防衛力強化を急ぐ背景には、トランプ米大統領の意向があったようだ。日米外交筋によると、トランプ氏は7月31日に安倍晋三首相と電話会談した際、専守防衛に徹し軍事面で東アジアの安定に貢献できない日本にいら立ちを示したという。

 
こうした意向を反映してか、2プラス2の合意文書には、集団的自衛権の行使を容認した安全保障関連法の下での「協力の形態」を追求すると明記された。自衛隊の任務拡大につながる可能性もあるが、外務省幹部は「北朝鮮情勢が緊迫する今なら国民は許容する」と指摘する。

 
ただ、「北朝鮮危機」に便乗するような形で日本の役割拡大を進めることに世論の理解が得られるかは見えない。各社の世論調査によっては、防衛費の増額を容認する意見は2割に満たないのが現状だ。首相は、外交と経済で急落した支持率の回復を狙っているとされるが、「軍備増強」が政権の立て直しにつながる保証はない。


現状で10発の弾道弾が飛んで来たら1,2発は撃ち漏らして着弾するだろうな。将来、イージス艦とイージスアショア、それにPAC3と整っても全弾を撃墜するのはなかなか難しいだろう。でもイージス艦て最初から弾道弾迎撃能力を付加して建造すればいいのにどうして後日改修にするのかねえ。米国の都合なんだろうか。まあ北のバカ大将も1発でも撃てば国も自分もなくなることは承知しているだろうからそうそう簡単には撃たないだろうけど、追い詰められたら分からないからなあ。


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