今回の事故で損傷した米海軍のイージス駆逐艦フィッツジェラルドは空母「ロナルド・レーガン」を含む空母打撃群に所属する。弾道ミサイルを追尾、迎撃する弾道ミサイル防衛(BMD)システムを搭載し、東日本大震災では米軍の「トモダチ作戦」に参加した。最近は弾道ミサイルを相次いで発射する北朝鮮の警戒などに当たってきた。
4月末に日本海で海上自衛隊のイージス艦と弾道ミサイル迎撃を想定した共同訓練を実施し、今月上旬は日本海から沖縄東方にかけての海域で海空自衛隊と共同訓練を行っていた。
米海軍は横須賀基地にイージス艦を11隻配備し、うちフィッツジェラルドを含む7隻がBMD対応艦とされる。海自は6隻のイージス艦のうち4隻がBMD対応だ。今回の事故で日米連携の重要な役割を担う1隻を当面欠くことになった。
とはいえ、運用ローテーションの見直しなどで対応し、安全保障面での影響は限定的とみられる。海自幹部は「1隻欠けた影響はないとはいえないが、そもそも不測の事態を想定した編成になっているはずだ。海自のイージス艦もあり、カバーしあって対応することになる」と話す。
一方、破損した艦の映像は脆弱(ぜいじゃく)なイメージを与えた。艦橋右舷下方、イージスシステムの中枢となる「フェーズド・アレイ・レーダー」付近の損傷は特に激しかった。このレーダーは、探知した敵の航空機やミサイルなどの情報をコンピューターで瞬時に処理できる高度の能力を持つ。
元自衛官で軍事評論家の熊谷直(ただす)氏は「レーダーは防空用で、遠くのものを探知する能力を有しているが、すぐ近くの船の探知は漁船のとあまり変わらない」と話す。イージスシステムは通常の航海中には作動させず、普段は航海用のレーダーのほか、乗組員の目視に頼らざるを得ない。
熊谷氏は「イージスは他を守るための高度なシステムとして優れている。自前の装甲は薄く、当たるとすぐへこむ」と指摘する。軍事関係者によると、装甲を薄くすることで機動力を確保する意図もあるという。
現代の軍艦は装甲防御などはせいぜいスプリンター防御程度で昔の軍艦のように走行を張ったりはしていない。後は区画を細かく区切って水密防御と言って浸水を局限する程度で総トン数3万トン、載貨重量トン4万トンのコンテナ船が衝突すれば簡単にぶっ壊れるように作ってある、・・というかそういうことを想定した強度など考えてはいない。逆に言えば重いものを積んで波浪に耐えて海を走るコンテナ船の方が頑丈に作ってあるかもしれない。高性能のレーダーシステムもミサイルを敵の航空機やミサイルに当てるためのもので公開に使うレーダーはごくごく普通のレーダーでその辺の船と何も変わらない。ずい分傾いていたが、衝突の衝撃で上部構造物だけではなく水線下の船体も破損しているのかもしれない。8千トンのイージス艦に6万トンくらいの質量のある船が当たったのだから軍艦とは言ってもたまったものではない。7名の乗組員は逃げ出す間もなく浸水につかまったんだろうか。
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