古い洋館を改装したホスピス「丘の上病院」。「我が主様」から死んでいく人間の魂が主様のところに行かずにこの世に未練を残して地縛霊となるのを防ぐためにゴールデンレトリバーの姿となって地上に派遣された「死神」の私は、夏毛のまま真冬の世界に送り込まれて死にかかっているところを看護師の菜穂に保護され、「レオ」という名で丘の上病院に住むことに。そこには死神だけにわかる、この世への未練が放つ4人分の「腐臭」が漂っていた。
この洋館では7年前に謎の“吸血鬼家族”殺人事件が起きたという。事件は未解決、裏庭には地縛する3つの「魂」――。「言霊」を操り、相手の「魂」を浄化し、無事に「我が主様」の元に導くことを仕事とするレオ。洋館を調べまわるうちに隠された地下室を発見し、事態は思わぬ方向へ――!!
(↑)の話は「優しい死神の飼い方」と言う文庫本でこれまでこの手の本は全く読まなかったのだが、最近はちょっと趣向が変わってきたのか、読みたい本がなくなってきたのか、題に魅かれて読んでみた。話の内容は他愛もないものでちょっと「ゴースト」と言う映画に影響されているのかなと思えるところもあったが、ちょっと気になったところは、「日本人は平和ボケで自分の死というものをほとんど意識しないで生きているのでいざ自分の死に直面すると「あれもやり残した、これもやっておきたい」と未練が続出して地縛霊になってしまうと言うところだろうか。僕自身については今更これと言った未練もないし、今の時代にやり残したことと言っても自分のことくらいなのでこれと言ってない。また両親はともかく、これまでに近しい人間を何人もなくしているし、以前の仕事も常に死とは隣り合わせのようなところがあったので死を意識しないと言うこともなかったが、やはりそれはあくまでも他人の死であって人間と言う生き物はいやなことを自分のこととして考えるのを回避する本能があるようでなかなか自分のこととしては捉え難い。でも若かろうが年を取っていようが、人間はいつどこでどんな形で自分の死と鉢合わせするか分からないのでそういうことを考えておくべきなのかもしれない。話としてはファンタジー風の推理もので展開も早くて肩ひじ張らずに読めるので面白いかもしれない。ラストはせっかく治りかけた花粉症が悪化するかもしれないような場面もある。ストーリーはちょっと取ってつけたようなところもあるが、なんだかんだで最後はそれなりにほっとさせてくれるんで読んでみてもいいのかもしれない。死神が封じ込められた犬がゴールデンレトリーバーと言うのもちょっと似合っているかもしれない。でも以前はこの手の本は絶対に読まなかっただろうし、そうした本を最近何冊か読んでいるので自分の中で何か変わったことがあるのかもしれない。
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