「世界最先端の空母ではないが、客観的な基準からみて、われわれの国情とニーズに合致している」
      
4月26日に進水した中国初の国産空母「山東」について、このような北京の軍事専門家のコメントが中国のインターネット上で物議を醸している。中国には世界最高水準の空母を製造する能力がなく、現在の中国には世界で最先端の空母は必要ないと決めつけたとして、中国の軍事マニアのプライドをいたく傷つけたためで、発言の撤回を求める声すら出ている。
 

ことの発端は中国国防省の呉謙スポークスマンの発言だ。呉氏は定例記者会見で、「山東」と名前付られた初の国産空母が近く進水するとの一部報道についての質問に回答。「わが国初の国産空母は現在装備・設備の取り付け作業を行い、大変順調に進んでいる。さらなる良い知らせについてだが、みなさんを長く待たせることはないと信じる」と述べた。
 

これについて、中国共産党機関紙「人民日報」(電子版)は、北京テレビの取材に応じた軍事専門家の尹卓氏の発言として、「アイランド(艦橋・マスト・煙突類が一体となった構造物)や船底部の動力、内部の設備もほぼ完成していると思われる。さらに、船体部に汚れを防ぐ赤色の塗料が塗られたが、この塗料が塗られると進水時期が近いことを意味している」と報じた。
 

そのうえで、同紙は軍事専門家の曹衛東氏が「世界で自国だけの力で空母を建造できる国は一握りで、中国初の国産空母は中国の力だけで建造している。艦載機の離着陸設備やレーダー、無線関連設備といった技術は高水準で、(国産空母の完成は)中国の国防分野の水準が向上することを意味する」と発言したと伝えた。
 

ここまでは、至極穏当な分析だが、そのあとの発言が軍事マニアの神経を逆なでしたようだ。「中国初の国産空母は世界最先端の空母ではないが、この空母はいまの中国の国情と需要と合致している。つまり、中国は他国の脅威となることはなく、他国を脅威と感じることもない」と衛氏はコメントしたのだ。
 

ある軍事マニアはネット上で、「他国の脅威とならないような空母は必要ない。空母は軍事力のステータスであり、脅威とならないような空母が、いまの中国の国情と重要に合致している──などというのは間違いだ。中国が軍事的に弱体であることを示すようなものだ。軍事専門家のくせに、そんなことも分からないのか。発言を撤回すべきだ」と書き込んだ。
 

さらに、この書き込みに賛同して、「戦う前からアメリカに負けているではないか」などとの書き込みも次々と加わったのだが、中国当局が事態を憂慮したのか、次々と批判的な書き込みを削除して、いまでは書き込みを見ることができない状態になっている。


空母など航空機を発着艦させるのに必要なだだっ広い甲板があればいいのかと言うとそうでもなく特に着艦拘束装置や射出機(カタパルト)に高度な技術と経験が必要なんだそうだ。また、運用・戦術についても経験と知識が必要で空母が出来たから、「はい、機動部隊の完成です」と言うわけにはいかないらしい。これまで大規模に空母機動部隊を運用したのは米国と日本だけだが、日本も空母から航空機を射出する蒸気カタパルトが作れずに商船改造の小型空母では新鋭機の運用ができなかった。日本の場合は戦後70年の長きにわたって空母機動部隊の運用をしてこなかったので仮に空母を作るとしてもその運用は一から出直しだろう。おそらくDDHを運用しながらそのノウハウを蓄積していくのだろう。ただ、日本には本格的な空母機動部隊を編成して運用する理由も必要性もないとは思うが、・・。中国は日本よりももっと白紙の状態からの運用になるので空母機動部隊が完成するにはまだまだ時間がかかるだろう。6隻を整備すると言うが、その数では実際に第一線に展開できるのは2隻程度、制限された状況で運用される戦闘機が30機程度では米国は言うに及ばす日本にとっても大きな脅威とはなり得ないだろう。それはこの先、中国の空母も進化はしていくとは思うが、莫大な金もかかることだし、中国の経済事情にもよるだろう。麻生ちゃんの言うように中国経済崩壊してくれるといいんだけどねえ。


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