内戦再燃で、PKO派遣条件は崩れたが
 
日本の自衛隊が派遣され、平和維持活動(PKO)に従事している南スーダンの情勢が混乱している。今月に入って政府軍と反政府軍が衝突し、300人以上の死者が出た。中国などから派遣されたPKO要員2人も、混乱に巻き込まれて死亡したという。

 
南スーダンは、日本の国際貢献の象徴的な存在で、政府は今のところ自衛隊部隊の撤収は検討していないが、現地の事情に明るいNGO関係者からはPKO派遣条件から外れる「現地は内戦状態」との指摘も出ている。

 
南スーダンは、長い内戦の末、2011年7月にスーダンから独立した。エチオピアやコンゴ民主共和国などに囲まれているアフリカ中部の小国だ。

日本との関係はあまりなかったが、ここ数年、注目を浴びてきた。
 
それは陸上自衛隊の施設部隊350人が、首都ジュバにPKO活動のため派遣されているためだ。陸自の部隊員は近く、安全保障関連法で認められた「駆けつけ警護」にも乗り出すとみられている。

 
これまで自衛隊は、自分たちに危害が及ぶ際だけに武器の使用が認められていた。しかし、「駆けつけ警護」は、離れた場所にいる国連や民間NGOの職員、他国軍の兵士らが武装集団などに襲われた場合、助けに向かうことができるもので、場合によっては武器使用も認められる。これは、日本が目指す新たな国際貢献の象徴となる。

 
ただ、今回の状況はかなり厳しそうだ。独立前の南スーダンに3年住み、活動した経験がある、日本国際ボランティアセンター(JVC)の今井高樹・スーダン事務所代表に電話で聞いた。スーダンは、南スーダンの隣に位置する。

 
今井さんは、昨年ジュバを直接訪問している。インフレは年間300%と激しく、銃を使った強盗が頻発しており、もともと政情不安だった。「それでも、キール大統領の政府軍が治安を完全に掌握しており、軍事的には安定していた」と話す。

 
ところが今月に入って事情が一変した。昨年8月に成立した和平合意を受けて、マーシャル第1副大統領派の軍隊が最近、ジュバに入ってきたためだ。軍隊の整理統合ができないまま、双方が和平合意を交わしていたのだという。

 
今井さんは、紛争が起きた今月7日から、首都のジュバにいる友人に電話をかけて現地の様子を聞いた。「双方の軍が戦車やヘリを使って衝突する本格的なもので、街は混乱しており、死者は報道されているより遙かに多そうだ。銃声はいったん収まっているようだが、いつまた戦闘が起きるか分からない一触即発の状態」(今井さん)という。

 
日本政府は、自衛隊がPKOを行う際に(1)紛争当事者間で停戦合意が成立していること、(2)当該地域の属する国を含む紛争当事者がPKOおよび日本の参加に同意していることなどの5原則を示している。今の南スーダンの状態は「5原則が崩れていない」(菅義偉官房長官)としている。
 
 
それでも政府は、万が一の事態に備え、南スーダンにいる在留邦人約80人や一部の大使館員を、チャーター機や自衛隊機を使って避難させた。
 
 
今井さんは「日本は今、国連の非常任理事国なので、メンツもあり自衛隊を撤収させたくないのだろうが、現地はもう完全な内戦状態。情報を国民にしっかり開示し、慎重に対応すべきだ」と警鐘を鳴らしている。


大統領派も副大統領派もそれぞれ軍隊を持っているなんて日本の常識では考えられないが、部族対立の激しいアフリカなどはそれが常識なんだろう。そうでなければ統治などできないだろう。それにしても自衛隊も他国から見れば立派な軍隊で他国が内戦があろうと活動しているのに、「うちは家訓で戦闘地域にはいられないことになっていますので帰ります」とは言えないだろう。そうしたものを排除して任務を遂行する能力を持つのが軍隊だし、「いえ、自衛隊は軍隊ではなくてですね、・・。憲法で武力行使が禁じられていてですね、・・。」などと言っても始まらない。隊員に被害がないといいのだが、・・。


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