米南部テキサス州ダラス中心部で7日夜(日本時間8日午前)に起きた警官銃撃事件の衝撃は一夜明けても続いていた。銃撃事件は白人警官が黒人を射殺した事件に抗議する平和的なデモの最中に起きた。人種などの違いによる分断が進まないよう人々は祈りをささげた。
事件を受けて現場近くの広場では8日正午過ぎ、追悼式が開かれた。キリスト教やユダヤ教、イスラム教など異なる宗教や人種の男女数百人が手を取り合って黙とうした。周辺は大勢の警官が警戒し、警官5人が死亡した事件の衝撃を物語る。近くの立体駐車場ではライフルを抱いた警官が双眼鏡で広場を見下ろしていた。
式典に参加したダラス市のローリングス市長は「私たちは変化の態度を見せなければいけない。謙虚な態度だ」と呼びかけ、ダラス市警のブラウン署長は「ダラスは愛の市だ。ここに来て支援を見せてくれてありがとう」と感謝。宗教指導者らは「憎しみを拒絶しよう」と語りかけた。
「すべての命が重要だ」と書いた紙を掲げていた白人の劇場職員、パストン・ホフさん(20)は「憎しみ合うことでは何も解決しない。結束を見せたくて来た」と語った。黒人女性のフェイトさん(44)は「私の親友の警官が同僚2人を亡くして落ち込んでいた」と肩を落とす。銀行に勤める黒人女性のデボラ・トレイラーさん(61)は黙とうしながら涙を流した。肌の色が異なる男女が追悼式に集まり希望を感じたという。「私たちは外見は違っても中身は一緒。同じ空気を吸い、同じように悲しむ。3歳と5歳の孫たちが肌の色で苦しむ世界になってほしくない」と望んだ。
銃撃のあったダラス中心部は通行止めが続き、赤と青のライトを点滅させたパトカーや白バイの警官が目を光らせた。現場は1963年にケネディ大統領が暗殺された路上から目と鼻の先。碁盤の目に交差する通りには当時を連想させるレンガ色のビルなどが並ぶ。近くでは人々が花を手向け冥福を祈った。
付近の路上にいた黒人男性の自営業、ヘンリー・ハンターさん(24)は一夜明けた後も、現場近くに駐車した車を動かせず、帰宅できずにいた。前夜、ホテルのバーで婚約者とお酒を飲んでいると銃撃が起きた。午後9時前に突然、警官がホテルに駆け込んで来て「閉鎖しろ。外に出るな」と叫んだ。深夜までバーのテレビでニュースを見て待機。安否を心配する家族や友人から、ひっきりなしにメールや電話が入った。ホテルにいた客は捜査のため、帰宅や車に触れることは許されず、急きょ宿泊。容疑者が爆発物を仕掛けたと語ったと伝えられている。ホテルの部屋の窓からは爆発物を調べる警官の姿が見え、不安な夜を過ごした。「黒人は犯罪者だという偏見があるのではないか。悲劇を繰り返さないためには、偏見をなくす必要がある」と語った。
米国と言う国は自由先進的なイメージがあるが、旧来の因習や偏見に囚われた頑迷な部分もかなりあるらしい。日本と言うと富士山をバックに芸者やサムライが闊歩していると信じている人たちも多いようだ。日本も外国人が増えつつあるが、移民の国米国では様々な人種が入り混じって暮らしているので人種同士の摩擦が多いのだろう。日本ではヘイトスピーチだのヘイトクライムなどの概念が全くなかったころに米国の捜査官から「日本のヘイトクライムの割合はどのくらいだ」と聞かれて「ヘイトクライムってなんだ」と聞き返したことがあった。その米国人は怪訝な顔をしながら、「ヘイトクライムはこれこれ、日本にはないのか」と言うので、「あまり聞いたことがない」と答えると不思議そうな顔をして黙っていた。日本もこれから外国人が増えてきていろいろ摩擦が起こるだろうが、差別や偏見に起因する犯罪が増えないといいのだが、・・。
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