海上自衛隊舞鶴地方隊が半世紀近く実施してきた艦艇による夏の公開訓練を、今年は実施しないことが4日、分かった。舞鶴地方総監部は「艦船の部隊運用を考慮しての決定」と説明。北朝鮮による日本海でのミサイル発射や、中国船の領海侵入が相次ぐ中、海自の艦船・人員の余裕が無くなったとみられ、日本を取り巻く緊張の高まりが、舞鶴の夏の恒例行事にも影響した形だ。


 
舞鶴の夏の公開訓練は「展示訓練」と呼ばれ、1968年から、自衛隊観艦式のある年を除き毎年行われてきた。3年に1度、海自の主力艦が東京近海に集まる観艦式になぞらえ「ミニ観艦式」とも呼ばれている。全国の部隊から選ばれた護衛艦、潜水艦、航空機が若狭湾に集結。公募の一般市民が護衛艦に便乗し間近で見学する大がかりなPRイベントだ。29回目となった2014年には市民4640人が参加。昨年は観艦式で開催されなかった。

 

海自関係者によると、展示訓練は年度初めから予行演習のために何度も10隻近い艦船を集める必要がある。ソマリア沖での海賊対処行動が常態化、尖閣諸島と北朝鮮対策での出動頻度が高くなったため、毎年約4カ月必要なドックでの点検・補修や、乗組員の訓練の時間を確保するために、護衛艦隊・地方隊計48隻の護衛艦からこうしたイベントに派遣する余裕は年々無くなっているという。

 

同総監部広報係は「護衛艦隊の業務計画の中で展示訓練に艦を出すのが難しいと判断され、艦艇・人員を確保できない」と説明する一方「来年以降の開催についてはその都度、公表するが状況が変わらない限り難しいのではないか」との見方を示した。展示訓練に毎年応募し参加経験のある京都市内の女性(40)は「毎年楽しみだったので残念ですが、本来のお仕事に障るならそちらに力を入れてほしい」と話していた。


定期点検や修理で取られ、訓練で取られ、そして派遣で取られ、護衛艦のやりくりも火の車だろう。大変だけど頑張れ、海上自衛隊。


日本ブログ村へ(↓)