国産宇宙ロケットを開発する韓国航空宇宙研究院が、当初来年12月に予定していた韓国型宇宙ロケットの試験発射を10カ月以上延期しなければならないと政府に報告した。無理な開発スケジュールに追われ、燃料タンクやエンジン開発に支障が出たためだ。2019年と20年の2回予定さていれた本発射と、20年の月面着陸船打ち上げ計画も延期が避けられなくなった。
2兆ウォン(約1780億円)が投入される韓国型ロケット計画は、純粋な国産技術で宇宙ロケットを作り、世界の宇宙開発市場に挑戦するというプロジェクトだ。当初の目標は18年に試験発射、20年と21年に本発射、月面着陸船は25年だった。しかし、前回の大統領選挙で朴槿恵(パク・クネ)大統領が「20年に月に太極旗(韓国国旗)を翻らせる」と公約、日程が無理に繰り上げられた。試験発射も当初の18年から朴大統領の任期内に早められた。
宇宙ロケット技術は大陸間弾道ミサイルに転用可能なため、先進国はどの国も教えてくれない。十分な時間をもって開発しても成功するとは限らない。それにもかかわらず大統領の一言でいたずらに日程を早め、結局今回のような事態となった。開発費の支援もきちんと行われていなかった。毎年400億ウォン(約35億6000万円)必要な月面着陸船の開発予算は、国会審議の過程で昨年全額削減され、今年は200億ウォン(約17億8000万円)だけだった。投資もせずに成果だけを要求したのだ。
政治が科学に介入すれば、科学が崩れる。李明博(イ・ミョンバク)政権はノーベル賞受賞者を輩出するとして、毎年5000億ウォン(約445億1000万円)支援する基礎科学研究院の設立を公約したが、7年5カ月間にわたり先送りされ、先月になってようやく起工式が行われた。研究院をどこに建てるかをめぐり、政界と自治体がもめたためだ。最終的には政治的妥協により25の研究チームが大邱・浦項・光州などに分散された。1カ所に集中して効率を高めなければならないのだが、そうはならなかった。
基礎科学プロジェクトの投資には指導者の決断が必要だ。しかし、一度決断をしたら、その後の過程は科学者に任せなければならない。月に宇宙飛行士を送ったアポロ計画は、ジョン・F・ケネディ大統領の意志で開始され、日本でも中曽根元首相が宇宙開発を進めようと自ら立ち上がった。彼らは「支援はするが干渉はしない」という原則を守り、科学者たちはその期待に応えた。朴大統領と政府には今からでも「2020年の月征服」公約を忘れてほしい。研究者たちが政治的圧力に振り回されず、純粋に科学的な観点からプロジェクトを進められるよう、任せるべきだ。
先進国の技術をつまみ食いしては、「国産だ、国産だ」と騒いでいる国には無理でしょう。ドイツの潜水艦のブラックボックス化している部分をこじ開けて元に戻せなくなって日本に泣き付いたり、米国にばれて技術供与を停止されたりしているようでは、月着陸船を開発するなんて野望としか言いようがない。いっそ、北の大将に教えてもらったらどうだろう。
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