十勝管内鹿追町の陸上自衛隊然別演習場で23日、空包を使うべき訓練で実弾が発射され、隊員2人が負傷するという「前代未聞の事故」(陸自幹部)が起きた。本来の訓練の流れを追うと、実弾の使用をチェックする三つの「関門」があった。今回はなぜ実弾がそれらをすり抜け、隊員の手に渡り、発射されたのか。訓練の流れを検証した。
空包 別の場所に保管
陸自北部方面総監部(札幌)によると、訓練を行ったのは北部方面後方支援隊(恵庭)に所属する第310輸送中隊(札幌)。22~26日の予定で実弾を使わない計画だった。
訓練で弾を撃つまでの流れは、実弾も空包もほとんど変わらない。部隊は事前に訓練の内容、必要な弾数などを申請し、駐屯地の弾薬庫で弾を受け取る。
実弾と空包は弾薬庫の別の場所で、それぞれ鍵をかけて保管されている。部隊の担当者が弾を受け取る際は、幹部ら複数人が立ち会い、その場で弾の種類や数を点検する。弾が入っている箱には「空包」や「実弾」などの種類も明記されているという。
40代の陸自隊員は「通常では考えにくいが、(弾を取り違えるなどの)管理のミス、点検の不徹底が重なったのかもしれない」と推測する。
訓練の直前に手渡し
実際に演習場で部隊の責任者が隊員に弾を配る際も、数や種類を確認した上で行う。実弾の場合は装甲車の中などに鍵をかけて保管し、24時間体制で見張った上、訓練の直前に渡す。空包は事前に渡すこともあるという。
銃弾は20発入りの箱ごと渡されることもあれば、箱から出してむき出しで渡されることもある。箱から出さないと、実弾と空包で形状が異なる先端部は確認できない。
今回はいつ、どのような状況で隊員に弾を手渡されたかについて明らかにされていないが、野営中など暗い状況で渡されていた可能性もある。
弾込め時も気付かず
実弾であろうと空包であろうと、隊員は1発ずつ数を確認しながら小銃の弾倉に装填(そうてん)する。このため、弾を込める時点では区別が付く可能性が高い。陸自関係者は「その場にいた隊員が一人も気付かないとは考えにくい」と首をひねる。
今回の事故は23日午後3時半ごろ、敵役の2人が、物資輸送している車列に対して小銃を発砲。車列側の7人が車外に出て、応戦する場面で発生した。この間に全9人で計79発の実弾が発射された。
実弾と空包では撃った感触が明らかに違うとされる。1発撃った段階で、射撃を中止できなかったのか。
総監部は最初の射撃から訓練中止までの詳細な時間を明らかにしていないが、79発は「9人で一気に撃てば、あっという間で撃ち終わる弾数」(ベテラン隊員)。隊員たちが実弾だと気付いた時点で79発に達してしまった可能性もある。
実弾は隊員に当たらなかった。総監部は「相手を狙って撃つ訓練ではなく、相手の動きをけん制するために斜め上に撃つ訓練だった」と説明する。
脇腹などに軽傷を負った隊員2人は、訓練時に小銃の先端に取り付けていた補助器具「アダプター」の破片が当たったとみられる。アダプターを装着すれば、空包を撃った場合でも、実弾と同様に連射できる。アダプターを付けたまま実弾を撃てば破損して破片が飛び散る。
2人は敵役と車列側に分かれていたといい、総監部はそれぞれ近くの隊員のアダプターの破片が当たったとみて調べている。
これも分からんなあ。ミステリーのような事故だな。部内では調査が行われているのだろうから原因は明らかになるだろけど誰も実弾と空包が取り違えていることに気がつかなかったというのは信じ難い。撃てば分かるだろうから止められなかったのかと言うが、それは無理だろう。フルオートだと毎秒10発以上発射するので20発弾倉など2秒ほどで撃ち尽くしてしまう。それにしても不可思議な事故が起こったものだ。
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