沖縄県の米軍属で元米海兵隊員の男が逮捕された遺体遺棄事件で、同県の翁長雄志(おながたけし)知事が日米地位協定の見直しを求めていることについて、島尻安伊子(あいこ)・沖縄北方担当相は24日の閣議後の記者会見で、「自民党県連としても、改正、改定は求めていく、求めざるを得ない」と述べた。
島尻氏は夏の参院選で改選を迎える沖縄県選出の参院議員で、同県連会長も務めている。島尻氏は、在沖縄米軍関連の事件が再び起きた場合、「身柄の引き渡しなど、地位協定が立ちはだかってしまう可能性はある」と指摘。「これまでも県選出国会議員の立場で抜本的な改定は要請してきている」と強調した。
一方で、安倍晋三首相や菅義偉官房長官は協定自体の見直しには慎重で、運用面の改善に取り組む姿勢を示しており、島尻氏の発言は閣内不一致とみられる可能性もある。
また、防衛省は24日、河野克俊統合幕僚長と米太平洋軍のハリス司令官が23日に電話協議をしたと発表した。ハリス氏は、事件で亡くなった被害者と遺族に「心からの謝罪の意」を表明。両氏は日米同盟の関係強化に向け取り組んでいくことも確認した。
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沖縄県で女性会社員の遺体を遺棄した疑いで米軍属の男が逮捕された事件で、米国防総省のデービス報道部長は23日、日米地位協定の見直しに否定的な見方を示した。
デービス氏は記者団に地位協定見直しについての考えを問われ、「日本側からの懸念には、見直しでなく運用で対処してきた。今後もそのように行う」と述べた。
またデービス氏は逮捕された容疑者について「米軍人でも、軍が雇用した者でもない。軍にサービスを提供している会社で働いている人間だ。地位協定上の地位を与えられるべきではなかった」と話した。
地位協定の改定、改定と言うが一体どこをどう改定しろと言うのだろうか。言っている者やメディアは地位協定をきちんと理解していっているんだろうか。米軍側が、日本に優先して裁判権を行使できる犯罪と言うのは、
※ もっぱら事件(犯罪の関係者が米軍側の人間だけで日本側には被害がない場合)
※ 公務中の作為・不作為による犯罪(主に交通事故など)
でそれ以外はすべて日本側に優先裁判権がある。また、この規定の対象は米軍人だけで軍属・家族は該当しない。(これは日米の裁判権が競合した場合の話で米軍軍事法廷は軍属・家族と言う民間人に対して裁判権を有していないのでこの規定の適用はない。)
身柄の引き渡しは一般的に被疑者の身柄が米軍の管理下にある場合は日本側から公訴が提起されるまでは米軍側が管理するが(日本側が先に逮捕すればその限りではない)、一般に国際慣習上、国家は自国民を保護する義務があるのでどこの国であっても他国から要請があっても自国民を他国の官憲には引き渡さない。日本人が外国で殺人を犯して日本に帰国した場合、当該国から被疑者の引き渡し要請があっても引き渡すことはない。逃亡犯罪人引き渡し条約が締結されている米国や韓国からの要請であっても要請があった場合は、証拠・書類を東京高検が精査して仮拘禁状を東京高裁に請求し、仮拘禁状が発せられた場合、身柄を拘束したうえで引き渡しが妥当であるか否かを高裁において審査して判断する。一般人でさえこれだけの手続きを経ないと他国の官憲に引き渡されないのだから公訴が提起されるまで米軍側が身柄を管理するというのは取り立てて優遇されているとは言えない。その間も連れて来いと言われればどこへでも涙ぐましいほどきちんと連れてくる。その後、沖縄の少女強姦事件による被疑者の引き渡しに関する運用の見直しで殺人、強姦などの凶悪な犯罪については起訴前の身柄の引き渡しについて米軍側が好意的な考慮を払うことになり、実際に凶悪な罪を犯した軍人の身柄は起訴前に日本側に引き渡されている。
地位協定で米軍側には数々の特権が与えられていると言うが、せいぜいこんなもので軍属や家族はそのような特権は全くない。施設内では物資に関税がかからないこと、光熱費がタダなことくらいではないか。
今回の被疑者は海兵隊を退役して民間会社から米軍に派遣されたコントラクターと言うことで本来軍に直接雇用されている軍属とは異なる。犯行の手口から見ても相当に荒っぽいやり方で育ちはよろしくないのだろう。最近は米軍も経費削減のためか施設の警備などを民間の警備会社に委託する場合が多く、コントラクターの身分についてはグレーゾーンが多い。
事件が起これば米軍が悪いと言うが、悪いのはやった本人で組織ではない。日本でも警察官も人殺しもすれば女性を襲うし、盗撮はするし、泥棒もする。政治家、教員や他の公務員も似たようなものだ。効果のある再発防止策などと言うがそんなことができれば世の中から犯罪はなくなる。感情的になったり事件を政治利用しようとしないで冷静に対応すべきだろう。米軍だって涙ぐましいほど一生懸命やっている。でもねえ、構成員すべての人格や私生活まで統制することが可能だと思うか。不可能を強制してはいけない。
地位協定が不平等だと言うが、敗戦後、たったの5年程度でよくあれだけ日本側の立場を踏まえた条約を結べたと思う。日本も自衛隊が海外へ派遣されているが、当然、現地政府とは地位協定を締結しているはずだ。公表されてはいないが、その内容は日米地位協定に準じていると思う。大体、好き勝手に外国に行っているわけではなく、公務として派遣されているのにちょっと何かあればみんな外国の官憲に身柄を引き渡された日にはいっているものだってばかばかしくてやってられないだろうし、当該国の世論だって沸騰してしまうだろう。悪いのは事件を起こした本人、米軍が悪くないとは言わないが、一方的に犯罪集団のような言い方をするのは間違っている。
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