■弱腰なら支持率低下 経済浮揚へ日本利用

 ロシアのプーチン大統領は6日の安倍晋三首相との会談で、日本からの投資呼び込みに強い期待感を示した。ウクライナ介入で制裁を科せられているロシアは、北方領土問題を抱える日本を引き寄せ、制裁の緩和や低迷する経済の浮揚につなげる思惑だ。その半面、プーチン政権はクリミア併合以降、「愛国機運」をたきつけることで高支持率を維持しており、領土問題で日本への“弱腰”を見せられる状況にはない。

 
首脳会談に同席したラブロフ露外相は「貿易・経済と投資の問題に特別の注意を払った」と内容を説明し、特に「大型の投資プロジェクト」への関心をにじませた。石油の低価格と対露制裁、資本流出による経済悪化に歯止めがかかっていないことが背景にある。

 
昨年の国内総生産(GDP)は前年比3・7%減にとどまったが、平均実質給与は9・5%減、小売り売上高は10%減、固定資本投資は8・4%減。プーチン政権は、経済関係の軸足を欧州からアジア諸国に移し、極東地域の開発にもつなげる「東方シフト」を模索したが、頼みの中国も大型投資には慎重だ。過度の中国依存がロシアの立場を弱めることへの警戒感もある。

 
ロシアは安倍政権が(1)主要国首脳会議(サミット)での存在感発揮(2)北方領土問題の解決(3)中露の反日連携阻止-を目指しているのを見越し、日本の取り込みを図っている。対日関係を国際的孤立の打破や懸案の極東開発につなげるのがロシアのシナリオだ。

 
北方領土問題では4月、プーチン氏が「妥協のためには不断の対話が必要だ」と発言。それまで高官から領土問題の存在を否定するような言動が相次いでいたため、態度を軟化させた印象を与えた。

 
ただ、プーチン政権は平和条約の締結後に色丹、歯舞の2島を引き渡すとした日ソ共同宣言(1956年)を軸に問題を解決する立場を変えていない。「4島の主権確認」がなされれば、返還の時期や態様は柔軟に考える-という日本側の方針もロシア人の領土観では理解が困難とされる。

 
プーチン氏の支持率はクリミア併合という「領土拡張」で8割超に跳ね上がり、その後も米欧と対抗する「大国」を演出することで国民の高揚感を維持している。国民の生活水準が低下し続ける中、政権にとって領土問題は極めてデリケートなものだといえる。


1万6500人の島民が居住して経済活動を行なっている島を返還しろと言ってもそれは無理だろう。ロシアだってわざわざそんな国内の批判を浴びるようなことを受け入れてまで日本に領土を返還する気は更々ないだろう。歯舞、色丹の2島返還が精一杯だろうから実利を取るか、永遠に4島返還を唱え続けるか、難しい選択だ。色丹島にも3千人以上の住民がいるというのでこれだってそうそう簡単ではない。最近のロシアの主張は、「日本が領土問題を放棄してロシアの主権を認めれば経済進出などの機会を与える」と言うものだそうだ。いずれにしても領土問題は難しい。まして相手が実効支配している領土を返還しろと言うのは不可能と言っても良い。


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