おおさか維新の会の足立康史衆院議員といえば、民進党の前身の民主党時代から、同党に対して「アホバカ」と言ってはばからない御仁である。それが国会の審議の場における発言のため、懲罰動議にもかけられている。しかも、それは一度ではない。

 
まずは2月24日の衆院予算委員会中央公聴会で、民主党と維新の党(いずれも当時)が推薦した公述人の郷原信郎氏に対して暴言を吐いた件だ。そもそも郷原氏はその前年の維新の党の分裂に際し、足立氏らと対立関係にあった松野頼久氏側に弁護士として助言。2011年の大阪府知事選では、民主党大阪府連から松井一郎氏の対抗馬として出馬要請を受け、積極的な姿勢を見せたこともあった。いわば足立氏にとって“敵”という存在だ。

 
そんな郷原氏に対し、足立氏は「あなたは専門家ではない、政治屋だ。売名行為をしたことについて批判する」と断じたのだ。

 
次に4月7日の衆院総務委員会で、「安保法廃止法案が対案だと胸を張っている民進党はアホじゃないかと思う。どうしようもない政党だ」と発言した件だ。民進党は翌8日に衆議院に懲罰動議を提出した。

 
こうした抗議にかかわらず、足立氏はまったく反省する様子を見せていない。それどころか、民進党が抗議すればするほど、まるでそれをエネルギー源にしているかのように、さらにパワーアップしているのだ。4月19日の衆院総務委員会でも「『日本死ね』よりマシだ」と弁解。「私は国民の声として、『民進党は死ね』と言っている」と開き直った。

 
なぜそこまで民進党を「アホバカ」と言うのか。足立氏はもともと暴言の多い人だったのか。経済産業省官僚時代の足立氏を知る人に聞いてみても、「そんな発言をする人ではなかった」という言葉しか返ってこない。足立氏は京都大学卒の元キャリア官僚だ。考えもなく「アホバカ」、さらに「死ね」まで口にするはずはない。そこで足立氏本人に理由を聞いてみることした。


●民進党は民主主義を冒涜?

「聞いて!聞いて!」

まさに言いたくてたまらなかった様子で、足立氏は事務所に筆者を招き入れてくれた。

「そもそも僕がああいう発言をするようになったのは、共産党が国民連合政府構想を提唱したことがきっかけなんですよ」

 
ならば共産党に「アホバカ」だろうに、なぜ民進党がターゲットになるのか。

「民進党は共産党と共闘しているからです。共産党と組んだらあきません」

 
しかしながら足立氏は、共産党を認めているのだ。

「彼らは非常によく勉強しているし、情報も持っている。共産党の議員ともときどき話しますが、とても参考になります。でも組む相手ではない。ましてや一緒に政権を狙うパートナーではありえません」

 
さらに民進党には、民主主義の観点から許せない点があるという。

「民主主義を冒涜したのです。今年1月の衆院予算委員会で、民主党(当時)は我々おおさか維新の会を『野党ではない』と断じて与党枠の質問時間を使うように求め、その結果、本来なら我々に1時間5分充てられるはずだったのに24分間に短縮されたのです」

 
これは、政党としてのおおさか維新の会の権利を大きく損なったと足立氏は主張する。

「我々は健全な野党として、日本をよくするために前向きに議論しようとしている。与党の足を引っ張るだけが野党ではありません。しかし民進党はそんな我々を『野党ではない』と断じた。野党は野党第一党の言うことを聞かなくてはいけないんですか。その指示通りに動かなくてはいけないんですか。我々の背景には投票してくれた有権者がいて、我々はその有権者のために国会で質問し、立法活動を行っている。でも民進党が我々の質問時間を削ったということは、その有権者の権利をも侵害したことになるんですよ。それで民主主義だといえるのですか」

 
確かに足立氏の説明には一理ある。その思いが高じてアホバカ発言になったというのだが、周囲はそれを理解しているのだろうか。

「母からは『アホはあかん』『恥ずかしいわ』と言われました。『そんな子に産んだ覚えはない』とも。どうやら2日続けて、大阪の新聞で掲載されたのがショックだったようです。父からは『もうお前には期待せん』と言い捨てられた。甥っ子が医学部に入ったので、これからはそちらに期待を寄せるそうです」

 
気の毒なことに、家族からは総スカンを喰っている状態の足立氏。これで少しは自粛するのかと思いきや、その様子はない。

「僕はやめませんよ。だって家族より国のほうが大事ですもん。正しいことを主張して、何が悪いんですか?」

 
実際に4月19日の衆院総務委員会では「私はもう(アホバカ発言を)やりません。遠山(清彦)委員長と約束しましたから、総務委員会ではやりません」と宣言したものの、その“口撃”は続いていた。
 
ところが民進党から抗議を受け、衆院議長を始め議員運営委員会委員長なども大激怒。とうとう馬場伸行おおさか維新の会幹事長が民進党に謝罪に出向くことになった。

 
総務委員会を外され、当分は「謹慎」となった足立氏だが、「僕の信念は変わらない、変えられるはずはない」とのこと。できたらそこそこに元気いい程度に、また「足立節」を聞かせていただきたい。


全くそのとおり、どこと組もうがそれはそれでいいが、政策協定も何もなしに票を取るため、選挙で勝つためにと言うのは政治のレベルを逸脱している。選挙同好会と呼んだ方が良い。でも、「アホバカ」がダメなら、「知恵が足りない」とか、「考えなし」とか言いようがあるだろう。言ったれ、言ったれ。「国のため」、全くそのとおりだ。


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