高速道路を走っていると単調で飽きてくる。大体、100キロ前後で走っているが、前にトラックなどがいて詰まると追い越しをかける。そうして多少はメリハリをつけて走らないとだるくなってくる。適度な緊張感が必要だろう。


100キロほどで走っていると、「これで転倒したら間違いなく死ぬな」と言う感覚があり、適度な緊張感もあるが、前が詰まったりして速度が80キロほどに落ちるとなんだか徐行しているような感じになる。80キロでも転倒すれば十分死ぬ速度だが、人間の感覚はいい加減なものだ。


高速を走っていて楽しみと言えばステンレスタンクを架装したタンク車に出会った時でタンクの表面は凸面なので多少は歪んでいるが、バイクに乗った自分の姿がタンクに写る。自分がバイクに乗った姿を見ることなどまずないので接近して姿を写し、追い越す時に側面に写った自分の姿を見ていく。ただ、あまり見とれていると危ないのでちら見くらいしか出来ないが、・・。


高速を走っている時の最大の敵は風圧だろう。速度が120キロを超えると吹き飛ばされそうな風圧を感じる。うちの指導員に、「カウルありとなしでは受ける風圧が違うか」と聞いたら、「そりゃ、大違いです」と言う。風圧を避けるのにカウルに伏せるといいという。でも、あんな姿勢、長く続けていられない。カウルがあろうがなかろうが、受ける風圧はさして変わらないのではないかと思っている。


高速道路は大体僻地を通しているので両側が山だったり住宅街は防音壁で仕切られていて溝の底を走っているようなものだ。だから風の通り道になるのか、よく風で煽られる。新東名の豊田・三ケ日間は特にそれがひどい。左右に振られるくらいの風だが、サービスエリアに止まるとそよ風も吹いていない。何とも不思議なことではある。


四輪はどんな速度でも車内で飲んだり食ったりしゃべったりしているが、バイクはそうはいかない。ただひたすら風圧とのどの渇きに耐えながら走ることになる。バイク用のドリンクホルダーなどを売っているが、走りながら飲めるんだろうか。どこかにぶっ飛んでしまうのではないだろうか。ヘルメットがフルフェイスだとまず絶対に無理だが、・・。ジェットなどでチューブでも付いていれば飲めないことはないが、それならサービスエリアで買って飲めばいいと思うのだが、・・。


体が凝ってくると上半身をねじってストレッチをする。何かの本に、「ストレッチくらいでバランスを崩すようなライダーはバイクに乗るな」などと書いてあったが、渇き、空腹、風圧、体の凝り、そして雨など降っていれば悪天候にも耐えながら走る。バイクと言う乗り物はなんとストイックな乗り物だろうか。


まだあった。長時間運転を続けて尻が痛くなると立ち上がって尻の血行の回復を図る。昨日もそれをやったら後ろを走っていたトラックが速度を落としてはるか彼方に遠ざかって行った。転倒でもしたら危ないと思ったのだろうか。


あ、まだあった。走っていると虫がバチバチ当たる。大きい虫だとかなりの衝撃がある。カブトムシでも当たった日にはどうなるだろうか。目の前に虫が何匹も張り付いたまま走らないといけない。払うと潰れて汚れがさらにひどくなる。こんな拷問でも受けているようなバイクが何で好きになったんだろうかと言いながら、次はどこに行こうかと考えている。恐ろしきはバイクだろうか、バイクに取りつかれたライダーだろうか。


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