民主党と維新の党が合流して新党「民進党」が3月27日、結成されました。旧改革結集の会4人と無所属1人も合流して衆参両院計156人に勢力を拡大しましたが、事実上は民主党への吸収合併で、現状ではこれによって日本の政治がより良くなると思えないのは私だけではないでしょう。このコラムで何度も書いてきたように、私は「政権交代可能な政治の実現」が政治をより良くすると考えるひとりですが、民進党はその勢力にはなりえず、場合によっては自壊しかねない可能性をはらんでいると見ていますので、今回はその問題点を指摘したいと思います。

 
まず、民進党の最大の問題を指摘すると、政党としての「正体」が見えないことです。民進党が結党大会で採択した綱領は「自由」「共生」「未来への責任」を結党の理念とし、「目指すもの」として(1)自由と民主主義に立脚した立憲主義を守る(2)共生社会をつくる(3)未来への責任 改革を先送りしない(4)人への投資で持続可能な経済成長を実現する(5)国を守り国際社会の平和と繁栄に貢献する-の5項目を掲げました。

 
一見すると、問題はないように見えるかもしれません。ただ、結党の理念も「目指すもの」に掲げた項目も反対だという人は恐らくいないでしょう。民進党が「対決する」としている自民党も異論はないのではないかと思います。つまり、政党のあり方として「ごく当たり前のこと」を掲げているにすぎず、理念が明確に示されているとは言えないのです。

 
「目指すもの」の各項目の内容も抽象的で不明確です。たとえば、憲法については「日本国憲法が掲げる『国民主権』『基本的人権の尊重』『平和主義』を堅持し、自由と民主主義に立脚した立憲主義を断固として守る」としていますが、これも当然のことでよく分かりません。

 
民進党の岡田克也代表は結党のあいさつで「安倍(晋三)政権のもと表現の自由、知る権利といった憲法の基本的な権利すら脅かされ、平和主義がないがしろにされている」と強調しました。安倍政権が進めてきた集団的自衛権行使を限定的に容認する安全保障関連法などに反対していく方針を示したものです。

 
しかし、安保関連法は憲法解釈を見直す閣議決定を行ったうえで作成され、長時間の国会審議を経て成立したことを考えれば、「自由と民主主義に立脚した立憲主義に反している」とは言えないでしょう。その点で岡田氏の主張は綱領に基づいたものというより、「政権批判のための反対」のように見えます。安保関連法に対しては民進党内にも本音では賛成という議員は少なからずいます。綱領で憲法に対する姿勢を明確にできなかったのは、そうした意見の違いがあるからにほかなりません。

 
さらに憲法改正について、綱領は「象徴天皇制のもと、新しい人権、統治機構改革など時代の変化に対応した未来志向の憲法を国民とともに構想する」としています。「構想する」という曖昧な表現にとどめたのも、党内で憲法改正に賛成、反対の両論があるからです。これでは現実味を帯びてきた憲法改正論議に民進党がどう臨むのか、さっぱり分かりません。

 
外交安全保障については「専守防衛を前提に現実主義を貫く」「わが国周辺の安全保障環境を直視し、自衛力を着実に整備して国民の生命・財産、領土・領海・領空を守る」「日米同盟を深化させ、アジアや太平洋地域との共生を実現する」としています。ただ、やはりこれらの文言からも安保関連法に反対する理由は見つかりません。民進党が「政権交代を目指す」というなら、反対するだけでなく、この綱領の文言に沿って対案を堂々と示し、与党と議論すべきです。それができないなら、綱領は「空文」ということになります。

 
このほかの項目も、「改革の断行」や「共生の実現」などを強調していますが、現実的、具体的にどのような国家像を目指すかは明確になっていません。もともと理念や基本政策が党内で異なっていた民主党に新たな議員が加わったにすぎないのが現状ですから、どんな政党なのか分かりにくくがなるのは明白です。綱領はその「正体不明ぶり」を物語っています。

 
夏の参院選では早速、民進党への評価が問われることになります。しかし、政策で与党と対決するというよりも、「安倍政権打倒」というスローガンを掲げて政権批判票を取り込もうと躍起になっているのが現状です。そこにつけ込み、影響力拡大を狙っているのが共産党で、その共産党とどういう関係で参院選に臨むかということは、今後の民進党の行方を左右します。

 
共産党は参院選の32ある1人区で野党候補一本化のため、すでに9の選挙区で候補者を取り下げました。そうした選挙区の野党候補は実質的に共産党の支援を受けることになりますから、当選すればその後の政治活動は共産党に配慮することになります。共産党の思惑はそこにあります。

 
民進党は理念や基本政策が不明確なまま結成されただけに、共産党と選挙協力をしたら、その後の政治路線は大きな影響を受けるのは必至です。すると、党内では共産党との関係をめぐって深刻な対立が生じることになるでしょう。

 
民進党は「政権交代可能な政治を目指す」としています。共産党と協力した政権を作るというなら別ですが、そうではないなら共産党との選挙協力は「野合」にほかなりません。民進党が「安倍政権打倒」という目先の目的にとらわれ、共産党を含めて理念も政策もない野党共闘に走れば、国民の期待は得られず、結果として自壊の道をたどるだけだと思います。


民進党が、自滅の道をたどるって、・・・??良いことじゃないか。何をどうやっても良いが、国家と国民の未来のために出来るだけ早く静かに自滅してくれ。


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