翁長雄志知事が昨年10月に実行した埋め立て承認「取り消し」に関する争いは、国と沖縄県が合意した和解条項で示された手続きが完了すれば、法的に決着する見通しだ。ただ、仮に県が新たな訴訟で負けても、知事に新基地建設を阻止する手段がなくなるわけではない。埋め立て承認の「撤回」や、基地工事に伴い国が県に要求する「変更申請」を拒否するなど、いくつかの権限が残る。
知事の狙いは、前知事による埋め立て承認の効力をなくし、新基地工事を止めることだ。このため、承認取り消しに踏み切った。
国と県が合意した和解条項には「取り消し」の効力をめぐる新たな訴訟で判決が確定した場合、双方が「判決に従う」と明記された。
国側には「県が負けた場合、判決後は新基地建設に協力するという意味だ」との解釈もあるが、県側の弁護団は「和解の射程は取り消しについて言っている」と受け止め、他の権限に効力が及ばないととらえている。
主な権限には、前知事が承認した時点と比較して、公益を害する新たな事由が生じた場合に可能とされる「撤回」や、基地工事の工程で設計変更などが起きた場合、事業者が県に求める「変更申請」の拒否などがある。
知事はこうした権限を行使し、「取り消し」闘争が決着した後も、新基地建設阻止の取り組みを続ける可能性が高い。
■辺野古工事 半年中断か
国と県が合意した和解条項は、国が名護市辺野古の埋め立て工事を中止し、県と話し合うとともに、解決できない場合、国が地方自治法245条7の「是正の指示」から、埋め立て承認取り消し処分の取り消しを求める手続きを始めるという内容だ。
極めて強権的な代執行手続きとは別の裁判で、承認取り消し処分が違法かどうかを争い、最高裁の判決が出たら双方が従うことになる。別の裁判の行方次第だが、工事は半年以上止まる可能性はある。
代執行をめぐる裁判は終わるが、承認取り消しが適法か違法かの判断が出たわけではなく、辺野古の新基地建設を進めたい国と、阻止する考えの県との対立は続く。
和解条項では、国が代執行訴訟を取り下げ、さらに沖縄防衛局が行政不服審査法に基づいて承認取り消しの違法性の審査を石井啓一国交相に求めた審査請求や、その裁決まで承認取り消しの効力を止める執行停止の申し立てを取り下げ、辺野古の埋め立て工事を止めるのが最初の段階だ。
次に国は「是正の指示」を出し、県はこれに不服があれば1週間以内に第三者機関の国地方係争処理委員会(係争委)に審査を申し出る。
同委員会が是正の指示を違法ではないと判断し、県が不服なら1週間以内に是正の
指示の取り消しを求める訴訟を提起。逆に同委員会が是正の指示を違法と判断したにもかかわらず、国が期間内に是正の指示の取り下げなど必要な措置を講じない場合、県は1週間以内に是正の指示の取り消し訴訟を起こす。いずれの訴訟でも確定判決に従い、互いに協力することを約束している。
1週間以内の審査申し出や提訴などを盛り込んだことで、手続きを通常より迅速に進める狙いがある。
これは要するに和解ではなく、裁判を一本化して迅速に進めようとの仕切り直しと言うべきだろう。国が訴訟に負ければ普天間移転は白紙に戻るが、国が訴訟に勝った場合、その後の工事は円滑に進むのかその保証もない。こんなことを何時までもよくやるものだ。米国もさぞややきもきしていることだろう。これが中国だったら反対派は全て抹殺されるだろう。沖縄が中国じゃなくてよかったねえ。
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